Clostridium perfringensにより後腹膜気腫を併発した重症急性膵炎の1剖検例

Clostridium perfringensにより後腹膜気腫を併発した重症急性膵炎の1剖検例を経験した。症例は79歳,男性。急激な腹痛で当院を受診した。腹部CTでは膵頭体部を主体として後腹膜腔におよぶガス像を認め,同部では膵実質が同定できなかった。後腹膜気腫を併発した重症急性膵炎もしくは十二指腸穿孔による二次性急性膵炎の診断で保存的加療を行った。しかし全身状態は増悪し,発症より3日後に死亡した。病理解剖では膵頭体部にかけて急性壊死性膵炎の状態であった。Vater乳頭肛門側には傍乳頭憩室が存在したが,膵壊死組織とに明らかな連続性は見られなかった。組織では膵臓には広範な出血壊死・脂肪織炎が見られ...

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Veröffentlicht in:医学検査 2017/11/25, Vol.66(6), pp.686-690
Hauptverfasser: 小副川, 晃一, 山口, 健太, 岸川, 恭子, 築地, 秀典, 堤, 陽子, 吉田, 緑, 阿部, 美智
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Clostridium perfringensにより後腹膜気腫を併発した重症急性膵炎の1剖検例を経験した。症例は79歳,男性。急激な腹痛で当院を受診した。腹部CTでは膵頭体部を主体として後腹膜腔におよぶガス像を認め,同部では膵実質が同定できなかった。後腹膜気腫を併発した重症急性膵炎もしくは十二指腸穿孔による二次性急性膵炎の診断で保存的加療を行った。しかし全身状態は増悪し,発症より3日後に死亡した。病理解剖では膵頭体部にかけて急性壊死性膵炎の状態であった。Vater乳頭肛門側には傍乳頭憩室が存在したが,膵壊死組織とに明らかな連続性は見られなかった。組織では膵臓には広範な出血壊死・脂肪織炎が見られたが,炎症細胞浸潤は軽度であった。壊死巣の中にはグラム陽性桿菌を認めた。また肝臓では軽度の炎症細胞浸潤を伴った肝細胞の凝固壊死巣が拡がっていた。膵壊死部と肝臓の凝固壊死部よりの細菌培養検査にてClostridium perfringensと Enterococcus faeciumが検出された。Clostridium perfringensにより後腹膜気腫を併発した重症急性膵炎及び敗血症,循環不全が死因と考えられた。Clostridium perfringensによる膵炎や敗血症は非常に重篤な病態で急激な進行をきたすため,救命のためには早期診断と迅速な治療の開始が重要である。
ISSN:0915-8669
2188-5346
DOI:10.14932/jamt.15-17