弾性線維染色における脱パラフィンの影響と脱パラフィン試薬の性質についての検討
今回,我々は弾性線維染色にみられる染色性の低下やムラの原因として脱パラフィン(以下,脱パラ)不足に着目し,脱パラ不足が弾性線維染色にどの程度な影響を及ぼすのか検討した。またキシレン以外の脱パラ試薬を使用することで,その性質について検討した。検討方法は弾性線維が豊富な大動脈のFFPEの薄切標本を使用し,標本のキシレンへの浸漬時間と液温を変化させた脱パラ工程を行うことで様々な脱パラ状態の標本を作製した。これらに弾性線維染色を行い,その染色性を比較した。その結果,明らかな部分だけでなく,僅かな脱パラ不足が起きていると考えられる部分でも染色性の低下がみられた。また,同様の手順で代替キシレン,ベンゼン,...
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Veröffentlicht in: | 医学検査 2017/11/25, Vol.66(6), pp.629-635 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回,我々は弾性線維染色にみられる染色性の低下やムラの原因として脱パラフィン(以下,脱パラ)不足に着目し,脱パラ不足が弾性線維染色にどの程度な影響を及ぼすのか検討した。またキシレン以外の脱パラ試薬を使用することで,その性質について検討した。検討方法は弾性線維が豊富な大動脈のFFPEの薄切標本を使用し,標本のキシレンへの浸漬時間と液温を変化させた脱パラ工程を行うことで様々な脱パラ状態の標本を作製した。これらに弾性線維染色を行い,その染色性を比較した。その結果,明らかな部分だけでなく,僅かな脱パラ不足が起きていると考えられる部分でも染色性の低下がみられた。また,同様の手順で代替キシレン,ベンゼン,オイルキシレンを使用し,その性質を比較するとキシレンやベンゼンは試薬への浸漬時間だけでなく液温にも大きく影響を受けることが分かった。また今回使用した代替キシレンはキシレンやベンゼンよりも脱パラ能力が高く温度変化による影響も受けにくいことが分かった。標本上に残留したパラフィンは僅かなものでも弾性線維の染色性の低下を起こす原因のひとつとなることが考えられ,その影響を避けるためには25℃程度に保った脱パラ工程や今回使用したような特性を持つ代替キシレンの使用が有効であると考える。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.16-19 |