髄液細胞増多が伴わなかったB群溶連菌性髄膜炎の1成人例
発熱,意識障害,項部硬直などの髄膜刺激徴候を認め,髄膜炎疑いで緊急搬送された71歳男性で,髄液中に多量の細菌を検出したが,細胞数増多を伴わず,急激な転帰を呈した細菌性髄膜炎症例を経験した。細胞数以外の検査所見は細菌性髄膜炎と合致し,髄液および血液培養からB群溶血性連鎖球菌が検出され,B群溶連菌性髄膜炎と診断された。髄液生化学検査では,糖の著減,蛋白の著増,LD,CK値上昇を認め,LDアイソザイムでは好中球由来のLD4,LD5は検出されず,脳細胞由来のLD1,LD2,LD3の活性上昇,特に中枢神経系細胞の破壊を示唆するLD1の増加を認め,CKアイソザイムでも脳細胞の傷害・崩壊を示唆するCK-BB...
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Veröffentlicht in: | 医学検査 2016/05/25, Vol.65(3), pp.304-309 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 発熱,意識障害,項部硬直などの髄膜刺激徴候を認め,髄膜炎疑いで緊急搬送された71歳男性で,髄液中に多量の細菌を検出したが,細胞数増多を伴わず,急激な転帰を呈した細菌性髄膜炎症例を経験した。細胞数以外の検査所見は細菌性髄膜炎と合致し,髄液および血液培養からB群溶血性連鎖球菌が検出され,B群溶連菌性髄膜炎と診断された。髄液生化学検査では,糖の著減,蛋白の著増,LD,CK値上昇を認め,LDアイソザイムでは好中球由来のLD4,LD5は検出されず,脳細胞由来のLD1,LD2,LD3の活性上昇,特に中枢神経系細胞の破壊を示唆するLD1の増加を認め,CKアイソザイムでも脳細胞の傷害・崩壊を示唆するCK-BBが主であった。本例は高齢,糖尿病,慢性腎不全があり,感染への脆弱性を示す基礎疾患が重なっており,そのため免疫応答が不十分な状況下で炎症性サイトカインの反応不良,細菌感染・増殖が急激に進行し,その結果,脳細胞や組織が損傷し急激な転帰を呈したと考えられた。 |
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ISSN: | 0915-8669 2188-5346 |
DOI: | 10.14932/jamt.15-65 |