走査電子顕微鏡の生薬学的研究への応用

生薬の真偽, 基原植物, 薬用部位を識別する上で形態学的研究は欠くことのできない手段である. 形態学的研究では組織やその配列だけでなく細胞内含有物の有無, 種類, 形態, 分布も識別の指標として利用されている. 細胞内含有物のうちの結晶もその有無, 分布, 光学顕微鏡観察による単晶, 集晶, 針状晶などの形状が識別の指標として従来から用いられている. 我々は植物中の結晶を走査電子顕微鏡により観察した. その結果, 結晶の微細な形状はその基原植物の科, 属あるいは種により特徴や類似点がある傾向が見られた. これを形態学的研究の基礎知識として生薬の識別に役立たせるためには, 多くの植物についての知...

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Veröffentlicht in:Natural Medicines 2001, Vol.55 (3), p.95-103
Hauptverfasser: 奥田和代, 久田陽一, 川村智子, 野呂征男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:生薬の真偽, 基原植物, 薬用部位を識別する上で形態学的研究は欠くことのできない手段である. 形態学的研究では組織やその配列だけでなく細胞内含有物の有無, 種類, 形態, 分布も識別の指標として利用されている. 細胞内含有物のうちの結晶もその有無, 分布, 光学顕微鏡観察による単晶, 集晶, 針状晶などの形状が識別の指標として従来から用いられている. 我々は植物中の結晶を走査電子顕微鏡により観察した. その結果, 結晶の微細な形状はその基原植物の科, 属あるいは種により特徴や類似点がある傾向が見られた. これを形態学的研究の基礎知識として生薬の識別に役立たせるためには, 多くの植物についての知見が不可欠である. この目的で, 走査電子顕微鏡を用いて数多くの植物中の結晶についてその微細な形状の観察を行った. 前報1)で単子葉植物中に含まれる結晶のうち最も多くみられる針状晶について報告した. 双子葉植物中には単晶, 集晶など種々な形状の結晶が含まれ3-14), 針状晶も多くの植物中に見られる.
ISSN:1340-3443