高等植物におけるステロール及びトリテルペンの生合成研究

カンゾウ, 薬用ニンジン, サイコなどは漢方処方において汎用されており, 有効成分としてトリテルペンサポニンが挙げられる. アグリコンのトリテルペン骨格は天然には80種以上知られているが, 中でもオレアナン, ウルサン, ルパン骨格が植物界に広く分布しており, 薬用植物においても同様である. これらの骨格はオキシドスクアレンを基質として形成され, その反応を司るオキシドスクアレン閉環酵素は, ステロールとトリテルペン生合成の分岐点に位置しており, 一次代謝から二次代謝への生合成の流れを制御しているという点において極めて興味深い酵素である. 21世紀における新しい生薬学の方向性を考えるとき, 形...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Natural Medicines 2001-02, Vol.55 (1), p.1-6
1. Verfasser: 渋谷雅明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:カンゾウ, 薬用ニンジン, サイコなどは漢方処方において汎用されており, 有効成分としてトリテルペンサポニンが挙げられる. アグリコンのトリテルペン骨格は天然には80種以上知られているが, 中でもオレアナン, ウルサン, ルパン骨格が植物界に広く分布しており, 薬用植物においても同様である. これらの骨格はオキシドスクアレンを基質として形成され, その反応を司るオキシドスクアレン閉環酵素は, ステロールとトリテルペン生合成の分岐点に位置しており, 一次代謝から二次代謝への生合成の流れを制御しているという点において極めて興味深い酵素である. 21世紀における新しい生薬学の方向性を考えるとき, 形質転換薬用植物創出による生薬有効成分の人為的制御は, 積極的に取り組むべき課題であると思われる. トリテルペン合成酵素は, その課題において格好の材料であり, トリテルペン合成酵素の過剰発現によるサポニン高含量植物の創出は言うまでもなく, アンチセンス植物創出の手法により, 特定の骨格を持ったサポニンのみを生産する薬用植物などの創出が可能になり, 生薬有効成分の人為的制御が現実のものになるであろう.
ISSN:1340-3443