トウキ(Angelica acutiloba KITAGAWA)の未熟および完熟種子からの不定胚形成と植物体再生

トウキ(当帰)Angelica acutiloba KITAGAWAは重要な薬用植物で, 乾燥した根が生薬として用いられる. 近年, 入浴剤に添加されるなど急速に需要が増加している. しかし品種改良が組織的に行われていないことから, 生理活性物質の含量5)および生育特性において個体間に差がみられる. したがって, 生理活性物質の含量を高めるには, 優良個体の植物組織培養によるクローン苗の育成が望まれている. トウキの組織培養に関する研究は, すでに中国トウキ(Angelica sinensis DIELS)では, 根, 葉, 葉柄, 子葉, 胚軸からのカルスの誘導および不定胚経由による植物体の...

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Veröffentlicht in:生薬学雑誌 1992-12, Vol.46 (4), p.378-383
Hauptverfasser: 林文音, 頼宏亮, 中田和男, 田辺猛
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:トウキ(当帰)Angelica acutiloba KITAGAWAは重要な薬用植物で, 乾燥した根が生薬として用いられる. 近年, 入浴剤に添加されるなど急速に需要が増加している. しかし品種改良が組織的に行われていないことから, 生理活性物質の含量5)および生育特性において個体間に差がみられる. したがって, 生理活性物質の含量を高めるには, 優良個体の植物組織培養によるクローン苗の育成が望まれている. トウキの組織培養に関する研究は, すでに中国トウキ(Angelica sinensis DIELS)では, 根, 葉, 葉柄, 子葉, 胚軸からのカルスの誘導および不定胚経由による植物体の再生1, 2)が, また大深トウキではプロトプラストからの不定胚経由による植物体の再生が報告されている3). 最近, 不定胚経由により育成されたクローン苗では, 生長および含量において大きな差がみられないことがAngelica acutiloba4)および Bupleurum falcatum5)で明らかにされ, 不定胚による大量増殖に関心が寄せられている. 本報告では種子胚からカルスの経由をできるだけ避けてクローン苗を育成する目的で, 未熟および完熟種子からの植物体の再生について検討した.
ISSN:0037-4377