漢方方剤の有効性に関する研究茵陳蒿および6,7-dimethylesculetinの血中濃度と活性について1
近年, 漢方製剤はいわゆるエキス剤の普及により臨床にも多く用いられるようになっているが, 一般に漢方製剤の有効性に関する基礎研究はきわめて少ない. そのため, 有効成分のいわゆるbioavailabilityに関する報告はほとんどみられない. 今回, 研究のモデルとして取りあげた茵陳蒿には, 有効成分のひとつとして6,7-dimethylesculetin3)(以下D. E. と略)が含まれている. このD. E. や, 他の有効成分であるcapillarisin4)には利胆作用5)かおり, また, その他の生理活性作用として, D. E. には鎮痛, 抗炎症作用6)も認められている. そこで...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 生薬学雑誌 1981, Vol.35 (2), p.108-114 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 近年, 漢方製剤はいわゆるエキス剤の普及により臨床にも多く用いられるようになっているが, 一般に漢方製剤の有効性に関する基礎研究はきわめて少ない. そのため, 有効成分のいわゆるbioavailabilityに関する報告はほとんどみられない. 今回, 研究のモデルとして取りあげた茵陳蒿には, 有効成分のひとつとして6,7-dimethylesculetin3)(以下D. E. と略)が含まれている. このD. E. や, 他の有効成分であるcapillarisin4)には利胆作用5)かおり, また, その他の生理活性作用として, D. E. には鎮痛, 抗炎症作用6)も認められている. そこで, このD. E. の有する鎮痛, 抗炎症作用(capillarisinには認められない6))についてその有効投与量と血中濃度の経時的な推移, また数種の溶媒で抽出したエキス投与時のD. E. の吸収の差異, さらには茵陳五苓散などの方剤中, 他の生薬成分の影響などについて検討した. 実験材料および方法 茵陳蒿は, 信州産および四国産のもので, その花穂のみを用い, これを水, AcOEt, MeOHで水浴中で3時間3回ずつ抽出してそれそれぞれの乾燥エキスとした. 茵陳五苓散は, 市場品の沢潟, 茯苓, 朮, 桂枝, 猪苓および上記の茵陳蒿を文献7)に準じて煎じ, これを乾燥エキ スとして用いた. D. E. は, 茵陳蒿を文献4)に準じて分画, 精製後, NMRおよびMSにより標品と同定したものである. |
---|---|
ISSN: | 0037-4377 |