澱粉含有生薬の毛管分析的研究(第1報) 澱粉の毛管分析的意義

著者等は烏頭, 附子の修治に関する研究において実験試料に炮附子を使用して水性毛管像を作製する時はドラゲンドルフ試薬によって濃青紫色のB型像β-曲線を呈する(Fig. 1)物質があることを認めた. 当初は, われわれの実験結果からしてこれは烏頭中のアルカロイドによるものではないかと考えた. しかしながら像の色調はアルカロイドの上記試薬による呈色とは異るので上記の濃青紫色のB型β-曲線は(β (BV)col. Dragendorff. R.)烏頭中のなにに帰因するかについて追求を行い, これは烏頭中の澱粉によることを確認することが出来た. この事実を基礎として澱粉の毛管分析的意義について研究を行い...

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Veröffentlicht in:生薬学雑誌 1959, Vol.13 (1), p.17-19
Hauptverfasser: 東丈夫, 溝淵貫一, 名越規朗, 宮崎昭子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:著者等は烏頭, 附子の修治に関する研究において実験試料に炮附子を使用して水性毛管像を作製する時はドラゲンドルフ試薬によって濃青紫色のB型像β-曲線を呈する(Fig. 1)物質があることを認めた. 当初は, われわれの実験結果からしてこれは烏頭中のアルカロイドによるものではないかと考えた. しかしながら像の色調はアルカロイドの上記試薬による呈色とは異るので上記の濃青紫色のB型β-曲線は(β (BV)col. Dragendorff. R.)烏頭中のなにに帰因するかについて追求を行い, これは烏頭中の澱粉によることを確認することが出来た. この事実を基礎として澱粉の毛管分析的意義について研究を行い, 澱粉の構成成分であるアミロペクチン並びにアミロース等はともにB型物質であることを明らかにすることが出来た. 徳島県高越山野生のヤマトリカブトを用い上記と同様にして毛管像を作製しドラゲンドルフ試薬による呈色像を求めるとFig. 1で示すと同様な結果を得た. もしこれがアルカロイドに帰因するとすればアルコール性毛管像においても同様な結果が得られる筈であるが実験では得られない. ここにおいて呈色色調から推して澱粉によるのではないかと考えるに至った. これを明らかにするために市販の日本薬局方の馬鈴薯澱粉を用いその水性毛管像を作製して稀ヨウ素ヨウ化カリウム試液による呈色像を求めるとFig. 2で示すように明らかにB型像が2つある像, すなわちα層は青紫色(α. (BV)), β1層は淡紅紫色(β1. (LRV)), β2層は青色(β2. (B)), 像構造式はα. (BV)-β1. (LRV)-β2. (B)となる結果を得た. しかしながらアルコール性毛管像を作製する時は上記のような像は全く得られない. 以上の実験結果から推して, さきの烏頭におけるB型像は烏頭中の澱粉によることは明らかである.
ISSN:0037-4377