植物成分の組織化学的研究(第1報), 植物成分の微量化学的研究 第 報, ミブヨモギ中のサントニンの分布

ミブヨモギの生薬学的研究を行い, 同時にミブヨモギ中のサントニンの分布及びその時期的変化について検討し昭和25年5月日本生薬学会講演会で報告したが, 苞及び管状花のナトリウムメチラート反応陽性の腺毛の時期的変化及びそれらのサントニン含量相関関係については柴田氏の報文がある. 従ってミブヨモギにつきサントニンの組織中に於ける分布について研究した結果を報告する. 研究材料としては北海道農事試験場北見支場に於て1948年秋定植の山科二号を用いた. サントニン及び揮発油の観察:管状花及び総苞片を肉眼及びルーペで観察すると容易に菱形板状又は鱗片状の結晶の附着するのが認められる. この結晶は30%ナトリウ...

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Veröffentlicht in:生薬学雑誌 1953, Vol.8 (2), p.49-51
Hauptverfasser: 岩佐準三, 福田友昭, 刈米達夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ミブヨモギの生薬学的研究を行い, 同時にミブヨモギ中のサントニンの分布及びその時期的変化について検討し昭和25年5月日本生薬学会講演会で報告したが, 苞及び管状花のナトリウムメチラート反応陽性の腺毛の時期的変化及びそれらのサントニン含量相関関係については柴田氏の報文がある. 従ってミブヨモギにつきサントニンの組織中に於ける分布について研究した結果を報告する. 研究材料としては北海道農事試験場北見支場に於て1948年秋定植の山科二号を用いた. サントニン及び揮発油の観察:管状花及び総苞片を肉眼及びルーペで観察すると容易に菱形板状又は鱗片状の結晶の附着するのが認められる. この結晶は30%ナトリウムメチラートによって赤色を呈する. 又この結晶をスライドグラス上で再結晶したものについて結晶光学的険査を行った結果サントニンである. 管状花の表面は腺毛で覆われており, その腺毛は多く2列3層に並んだ6個の柄細胞からなり, 上部に1個の袋状の細胞があり, 花冠の上皮に近い2個の細胞は著しく厚膜している. (Fig H)先端の細胞及び柄細胞の内部は揮発油で満され, 外面はクチクラで覆われている. 30%ナトリウムメチラートを滴下するにクチクラ層の薄いものは比較的容易にその揮発油が呈色する. 又稀に袋状の細胞の先端がより一層偏光し結晶状を呈するものがあり, これは30%ナトリウムメチラート反応陽性で, クロロホルムで消失する. この検体を永く放置し観察すると腺毛の先端より結晶が析出し, その結晶が管状花の表面に一面に附着するのが見られる. この結晶をスライドグラス上にて再結晶し検査するにサントニンである. 総苞片の内側には比較的典型的なサントニンの結晶がついているが, 大きいものは60~65μ. 普通長さ35~45μ. 巾10~15μ. である. 花蕾を圧し砕いてこれを簡単な微量昇華装置で昇華して観察すると, スライドグラス上に除々にサントニンが結晶する, 比較的少量であるが長時間放置しておくと長さ60~65μ. 位の結晶が出来る.
ISSN:0037-4377