0-28 SDHB大欠失による本邦悪性褐色細胞腫症例について

【目的】SDHB変異は腹部のパラガングリオーマを初発とし, その後高率に遠隔転移, つまり悪性褐色細胞腫を引き起こす. 今回MLPA法でSDHBの大欠失を同定できた症例について, 若干の文献的考察を加えて報告したい. 【症例】39歳の女性. 【現病歴】近医にて高血圧を指摘. この頃から動悸, 拍動性頭痛出現. 2年後の検診で血圧256/156mmHgと高値であり, 入院精査した所, 異所性褐色細胞腫肝転移の診断となり, 手術目的に当科入院となる. 【入院時検査所見および画像診断】尿中ノルメタネフリン高値. 腹部CTで膵背側に腫瘍あり, 同時に肝転移巣あり. さらに同部位に一致してMIBGシンチ...

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Veröffentlicht in:家族性腫瘍 2010, Vol.10 (2), p.129-129
Hauptverfasser: 児玉ひとみ, 竹越一博, 飯原雅季, 磯部和正, 岡本高宏, 川上康
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】SDHB変異は腹部のパラガングリオーマを初発とし, その後高率に遠隔転移, つまり悪性褐色細胞腫を引き起こす. 今回MLPA法でSDHBの大欠失を同定できた症例について, 若干の文献的考察を加えて報告したい. 【症例】39歳の女性. 【現病歴】近医にて高血圧を指摘. この頃から動悸, 拍動性頭痛出現. 2年後の検診で血圧256/156mmHgと高値であり, 入院精査した所, 異所性褐色細胞腫肝転移の診断となり, 手術目的に当科入院となる. 【入院時検査所見および画像診断】尿中ノルメタネフリン高値. 腹部CTで膵背側に腫瘍あり, 同時に肝転移巣あり. さらに同部位に一致してMIBGシンチグラフィ集積像あり. 以上より異所性褐色細胞腫肝転移と診断された. 【結果】当初SDHB遺伝子変異を直接シークエンス法で検索したが, 点突然変異を認めなかった. MLPA法による検査を追加して行ったところ, SDHB遺伝子の大欠失(プロモーター領域からエクソン2領域までの欠失)を同定した. 本例は日本においてMLPA法を用いてSDHBの大欠失による遺伝子変異を同定し得た初めての症例である. 【考察】2004年にMcWhinneyらにより, はじめてBrazilian familyにおける腹部パラガングリオーマのSDHB遺伝子exon1の大欠失による遺伝子変異が報告された. 以来, ダイレクトシーケンスで変異が同定できない場合でも, MLPA法を用いると約10%程度に大欠失によるSDHB遺伝子変異が同定できるという報告が散見されている. 今回, ダイレクトシーケンスで変異が同定できなかった例に対しMLPA法による検査を追加して行ったところ, SDHB遺伝子の大欠失を同定し得た. 【結論】今後悪性褐色細胞腫において, ダイレクトシーケンスによるSDHB遺伝子変異が同定できない場合でも, MLPA法による大欠失の検索をルーチンで行う必要性を示している.
ISSN:1346-1052