家族性腫瘍における医療費負担の問題‐FAP患者会の取り組みを通して
1998年に家族性大腸腺腫症(以下, FAP)の患者会が関西(ハーモニ・ライン), 関東(ハーモニーライフ)で相次いで発足し, それぞれ疾病に対する理解を深めるための講演会や, 会員相互が親睦を深めて情報交換できるような企画を実施しながら, 交流を行ってきた. そして, 第5回家族性腫瘍研究会の市民公開討論会には各々の会の代表者が体験を述べるなど, 社会に向けてアピールが行われた. その中でFAPに関する社会的問題のひとつとして医療費負担がクローズアップされるようになった. その問題解決方法については模索段階にあるが, 方策として特定疾患治療研究の対象となることを目指し, 厚労省健康局疾病対策...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 1998年に家族性大腸腺腫症(以下, FAP)の患者会が関西(ハーモニ・ライン), 関東(ハーモニーライフ)で相次いで発足し, それぞれ疾病に対する理解を深めるための講演会や, 会員相互が親睦を深めて情報交換できるような企画を実施しながら, 交流を行ってきた. そして, 第5回家族性腫瘍研究会の市民公開討論会には各々の会の代表者が体験を述べるなど, 社会に向けてアピールが行われた. その中でFAPに関する社会的問題のひとつとして医療費負担がクローズアップされるようになった. その問題解決方法については模索段階にあるが, 方策として特定疾患治療研究の対象となることを目指し, 厚労省健康局疾病対策課を訪問し, 担当者に実情を伝えた. 昨年11月には, 患者会が主体となって「家族性腫瘍診療における社会的問題‐医療費補助/適正な医療保険制度に向けての提言‐」をテーマにパネルディスカッションを開催した. 医療費問題の実態を当事者, 医療者, 医疲経済研究者の立場から発言し, 医療費, 生命保険等の問題についてその本質を追究すると共に, 打開策についての展望を探った. 生命保険加入等に関する問題も具体的に示され, 公的補助の必要性が確認され, 特定疾患研究事業対象となる要件に関する質疑応答等が活発に行なわれた. 参加者は35名で, 同日実施のアンケート(回収率65.7%)の記載を分析すると「この問題に関する継続的検討の必要性」が最重要項目と考えられた. 家族性腫瘍の社会的問題は, ようやく当事者から発信される情報としてその実態が明らかになってきたが, それを受けとめてどのような支援体制を整えていけるのか, そこに各専門職の立場からどのような役割を担えるかは, 重要な検討課題である. |
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ISSN: | 1346-1052 |