散発性MSI 陽性腫瘍における遺伝子異常

単純繰り返し配列における長さの変化に特徴づけられる新しい遺伝子不安定性,マイクロサテライト不安定性(MSI)は,HNPCC の大部分ならびに散発性腫瘍の一部においてみられる.近年の研究により,二つのタイプのMSI すなわち高頻度MSI(MSI-H)と低頻度MSI(MSI-L)があることがわかってきた.MSI-H 腫瘍と他の腫瘍では,臨床病理学的,分子学的特徴に大きな差異を認める.例えば,MSI-H 大腸癌は,p53,K-ras,APC 遺伝子の変異の頻度が低く,DCC 遺伝子の不活化やCOX-2 の過剰発現も少ない.一方,TGFβRII やBAX など標的遺伝子のフレームシフト変異やhMLH1...

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Veröffentlicht in:家族性腫瘍 2001, Vol.1(2), pp.43-47
Hauptverfasser: 山本, 博幸, 伊東, 文生, 福島, 啓, 堀内, 志奈, 佐々木, 茂, 今井, 浩三
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:単純繰り返し配列における長さの変化に特徴づけられる新しい遺伝子不安定性,マイクロサテライト不安定性(MSI)は,HNPCC の大部分ならびに散発性腫瘍の一部においてみられる.近年の研究により,二つのタイプのMSI すなわち高頻度MSI(MSI-H)と低頻度MSI(MSI-L)があることがわかってきた.MSI-H 腫瘍と他の腫瘍では,臨床病理学的,分子学的特徴に大きな差異を認める.例えば,MSI-H 大腸癌は,p53,K-ras,APC 遺伝子の変異の頻度が低く,DCC 遺伝子の不活化やCOX-2 の過剰発現も少ない.一方,TGFβRII やBAX など標的遺伝子のフレームシフト変異やhMLH1 遺伝子を含む癌抑制遺伝子のメチル化の異常を高頻度に認める.MSI-H 膵管癌も,正常型K-ras 遺伝子や髄様癌などの特徴を有する.IGF II 遺伝子のLOI がMSI-H あるいはMSI-L 大腸癌患者の癌部および隣接非癌部において高頻度にみられることも明らかになった.生物学的,臨床的観点から,腫瘍のMSI を決定することは重要である.
ISSN:1346-1052
2189-6674
DOI:10.18976/jsft.1.2_43