大腸癌家族歴を伴わない遺伝性非ポリポーシス大腸癌の1例
遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Hereditary Nonpolyposis Colorectal Cancer; HNPCC)はその定義で2世代にわたり第1度近親者に3人以上の大腸癌が発生している家系とされているが, 大腸癌家族歴はないが遺伝子診断でHNPCCと診断された症例を経験したので報告する. [症例]症例は女性で, 大腸癌や子宮体癌の家族歴はない. 49歳時S状結腸癌および子宮癌の重複癌で手術施行. 59歳時盲腸癌にて手術施行. 75歳時胃癌にて幽門側胃切除施行. 77歳時横行結腸癌と下行結腸癌の大腸多発癌で残存結腸切除すなわち結腸全摘術施行. その後78歳時膀胱癌にて手術施行した....
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Format: | Tagungsbericht |
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Zusammenfassung: | 遺伝性非ポリポーシス大腸癌(Hereditary Nonpolyposis Colorectal Cancer; HNPCC)はその定義で2世代にわたり第1度近親者に3人以上の大腸癌が発生している家系とされているが, 大腸癌家族歴はないが遺伝子診断でHNPCCと診断された症例を経験したので報告する. [症例]症例は女性で, 大腸癌や子宮体癌の家族歴はない. 49歳時S状結腸癌および子宮癌の重複癌で手術施行. 59歳時盲腸癌にて手術施行. 75歳時胃癌にて幽門側胃切除施行. 77歳時横行結腸癌と下行結腸癌の大腸多発癌で残存結腸切除すなわち結腸全摘術施行. その後78歳時膀胱癌にて手術施行した. 家系図の解析では大腸癌および関連腫瘍の集積はなくHNPCCの定義とは合致しなかったが大腸多発癌(異時性・同時性4発)と重複癌(子宮癌と胃癌)がHNPCCの臨床的特徴に合致するため, ミスマッチ修復遺伝子のgermline mutationを検索した. [遺伝子解析]germline mutationの解析はhMSH2のexon7についてPCR-SSCPとdirect sequenceにて行った. hMSH2 exon7 codon409に2塩基(AG)の欠失あり, フレームシフト変異によりcodon415は停止コドンとなっていた. microsa tellite instabilityはBAT26のみ検索したがが陽性であった. また, hMSH2のsomatic mutationは確認されなかった. 保因者診断では患者の子供と人の弟の計4名を検査したが, 患者と同じgermline mutationは認められなかった. [まとめ]大腸癌家族歴のない大腸癌弧発例であっても, ミスマッチ修復遺伝子のgermline mutationが認められればHNPCCと診断可能である. 患者の遺伝子診断が陽性であれば, 血縁者の発症前診断が可能であり, 患者にとっても多発癌および重複癌発生の予測となりうる. |
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ISSN: | 1346-1052 |