乳房自己検査の位置づけを考える

乳房自己検査(BSE)の大規模臨床試験(ロシア, 中国)で, 乳癌死の減少効果が検証されなかったために, BSE無効説が広がり, 世界中で戸惑いが続いている. これらの研究発表ではマンモグラフィの優位性, BSE推奨だけで済まない医療側の責任, BSE普及の費用, 精検費用などの考察も深く, 検診法, BSE法, 教示法自体の方に研究の重点があったようでもある. またロシアの研究のBSE群での発見乳癌はT1以下が23.3%と少なく, 76.6%がT2以上であったが, 中国の研究ではT1以下がBSE群で48.8%, 非BSE群でさえ44.8%であった. 両研究結果の一括論議が躊躇されるゆえんで,...

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1. Verfasser: 田島知郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳房自己検査(BSE)の大規模臨床試験(ロシア, 中国)で, 乳癌死の減少効果が検証されなかったために, BSE無効説が広がり, 世界中で戸惑いが続いている. これらの研究発表ではマンモグラフィの優位性, BSE推奨だけで済まない医療側の責任, BSE普及の費用, 精検費用などの考察も深く, 検診法, BSE法, 教示法自体の方に研究の重点があったようでもある. またロシアの研究のBSE群での発見乳癌はT1以下が23.3%と少なく, 76.6%がT2以上であったが, 中国の研究ではT1以下がBSE群で48.8%, 非BSE群でさえ44.8%であった. 両研究結果の一括論議が躊躇されるゆえんで, またBSEの有用性は他の検査法の活用や治療内容に依存する部分も大きい. さらに中国の研究では両群間の総死亡数の差が約10%で, 両群比較の妥当性も疑われる. 検診対象の全女性に質を保証して視触診, マンモグラフィ, 超音波を提供できる設備, 専門医, 専門技師が不足している現状では, これら不足部分の補完に役立つBSEを手放せない. 乳癌啓発の入り口として, BSEのメリットを生かせる知的レベルがわが国の女性に備わっていて心強い.
ISSN:0918-0729