乳房超音波B modeにおける受信音速と画像変化
近年, 超音波機器はフルデジタル化とともに, ビーム幅の狭小化や高周波数帯超音波装置の導入により, 距離分解能, 方位分解能とも大幅に改善した。特に体表領域では, 対象病変が浅いことから, より高周波数帯域の超音波が使用可能であるため, ミリ単位の微小病変も十分描出可能となっている。 また, 乳癌領域では臨床的にもセンチネルリンパ節生検, 乳房温存療法の普及や, 術後補助療法のテーラーメイド化など, 縮小治療化の方向に向いてきており, 乳癌をDCIS等の微小病変で発見することの意義が新たに注目されてきたところで, 高精細な超音波検査を, 微小病変を発見, 診断できる手段と位置づけるようになって...
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Veröffentlicht in: | 日本乳癌検診学会誌 2007/06/28, Vol.16(2), pp.179-189 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 近年, 超音波機器はフルデジタル化とともに, ビーム幅の狭小化や高周波数帯超音波装置の導入により, 距離分解能, 方位分解能とも大幅に改善した。特に体表領域では, 対象病変が浅いことから, より高周波数帯域の超音波が使用可能であるため, ミリ単位の微小病変も十分描出可能となっている。 また, 乳癌領域では臨床的にもセンチネルリンパ節生検, 乳房温存療法の普及や, 術後補助療法のテーラーメイド化など, 縮小治療化の方向に向いてきており, 乳癌をDCIS等の微小病変で発見することの意義が新たに注目されてきたところで, 高精細な超音波検査を, 微小病変を発見, 診断できる手段と位置づけるようになってきている。 しかし, ミリ単位の病変は少しの誤差で診断画像に影響がでるため, 機器や技術の診断精度が問題となっている。すでに受信周波数, ゲイン, フレームレートなどの精度管理上重要とされている項目は, 験者により微調整が可能であり, モニター, プリンター画像にも表示され, 記録されるようになってきている。 現在主流のフルデジタル機器はいわゆる音響レンズによるフォーカスではなく, 各探触子からの信号を遅延回路によりタイミング調整する電子フォーカスを採用している。これにより画質がさらに向上しているのであるが, この遅延回路は受信音速を1,530m/s前後に固定し, それを基に遅延時間を計算, 電子フォーカス画像を構成している。しかし, 実際の被験者乳房には, 脂肪が多く比較的音速の低い乳房と, 脂肪が少なく比較的音速の早い乳房が混在している。つまり検査対象となる乳房によって, 遅延回路の誤差が大きくなり, 画像が「ブレ」て表示されてしまう可能性があると思われる。特に最近のハイエンド機器で採用されてきているビームコンパウンド (多方向に多数の音波を照射し画像を構成する技術) ではこの「ブレ」はより大きくなると予想される。 実際に実験を行ったところ, 受信音速の調整を行うことにより画質の変化が確認可能であった。そこで, 今回, この音速差による画像の「ブレ」, 補正による画質の向上を供覧し, ミリ単位が要求されるようになった乳房超音波検査領域において, 新たに開発されてきている音速補正機能の可能性について言及したい。 |
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ISSN: | 0918-0729 1882-6873 |
DOI: | 10.3804/jjabcs.16.179 |