異常サーモグラフィ所見の経過観察中に乳癌の発現した症例

乳腺サーモグラフィ検査 (以下, 乳腺サーモと略す) は, 偽陰性が少なくスクリーニング検査として有用であるとの報告がある1, 2) 。しかしその反面, 乳腺サーモでの偽陽性症例, すなわち乳腺サーモにて悪性を疑わせる異常所見があるにもかかわらず, 他の検査所見が良性であるために総合的に良性と診断される症例も少なからずあり, このような症例の取扱いが問題になる。今回われわれは初診時に乳腺サーモが偽陽性であった123例の経過を追ううちに乳癌と診断された症例を9例経験した。悪性と診断されるまでの期間は最長で10ヵ月であった。初診時の傾向として触診にてはっきりとした腫瘤として触知されず, 乳腺症と診...

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Veröffentlicht in:日本乳癌検診学会誌 1993/11/30, Vol.2(3), pp.267-271
Hauptverfasser: 山下, 和城, 臼杵, 尚志, 上岡, 路明, 太田, 徹哉, 小笠原, 豊, 金谷, 欣明, 浦上, 淳, 江田, 泉, 松原, 淳, 川島, 邦裕, 紀, 計二, 小野田, 裕士, 大住, 省三, 平井, 俊一, 小松原, 正吉, 清水, 信義
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:乳腺サーモグラフィ検査 (以下, 乳腺サーモと略す) は, 偽陰性が少なくスクリーニング検査として有用であるとの報告がある1, 2) 。しかしその反面, 乳腺サーモでの偽陽性症例, すなわち乳腺サーモにて悪性を疑わせる異常所見があるにもかかわらず, 他の検査所見が良性であるために総合的に良性と診断される症例も少なからずあり, このような症例の取扱いが問題になる。今回われわれは初診時に乳腺サーモが偽陽性であった123例の経過を追ううちに乳癌と診断された症例を9例経験した。悪性と診断されるまでの期間は最長で10ヵ月であった。初診時の傾向として触診にてはっきりとした腫瘤として触知されず, 乳腺症と診断された症例, および乳頭異常分泌が主訴で乳汁の細胞診にて悪性と診断されなかった症例が多かった。超音波検査および触診ではすべて良性と診断されていた。乳腺サーモにより触知不能乳癌の検出以外にも, 乳癌高危険群の検出が可能であるとの報告もあり3~6), 乳腺サーモにて悪性を疑わせる異常所見がある症例は厳重な経過観察が必要と思われた。
ISSN:0918-0729
1882-6873
DOI:10.3804/jjabcs.2.267