日本版Public Service Motivation尺度の作成と信頼性・妥当性の検討

目的:公務従事者に特有のモチベーションであるPublic Service Motivation(以下PSM)に関する研究は,1990年代から主に海外で発展し,近年ようやく日本でも実証的研究が開始された.しかし,海外で作成されたPSM尺度を日本でそのまま適用することができないことが示唆されている.本研究では,日本におけるPSMの構成要素を明らかにし,PSMを測定する尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした.方法:日本国内に勤務する行政職公務員21名を対象に半構造化面接を実施し,PSM尺度の原案を作成した.その後,20~60歳代の公務員402名(有効回答395名)を対象にweb調...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2024/03/20, Vol.66(2), pp.73-84
Hauptverfasser: 鳴海, 泰子, 大塚, 泰正
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:公務従事者に特有のモチベーションであるPublic Service Motivation(以下PSM)に関する研究は,1990年代から主に海外で発展し,近年ようやく日本でも実証的研究が開始された.しかし,海外で作成されたPSM尺度を日本でそのまま適用することができないことが示唆されている.本研究では,日本におけるPSMの構成要素を明らかにし,PSMを測定する尺度を開発し,その信頼性と妥当性を検証することを目的とした.方法:日本国内に勤務する行政職公務員21名を対象に半構造化面接を実施し,PSM尺度の原案を作成した.その後,20~60歳代の公務員402名(有効回答395名)を対象にweb調査を行い,探索的因子分析にてPSM尺度の因子構造を確認した.さらに,α係数の算出により信頼性,関連概念との相関分析により妥当性を検証した.結果:探索的因子分析の結果,PSMは「社会的インパクト志向」,「社会的公正志向」,「コミュニティ志向」,「未来・変革志向」,「権威志向」,「弱者救済志向」の6因子が抽出され,α係数は十分な値を示した.また,妥当性については,PSMとワーク・エンゲイジメント,パフォーマンス,ワークモチベーション,職務満足との間に,概ね想定した有意な正の関連が確認された.結論:本研究で作成した日本版PSM尺度は,一定の信頼性と妥当性が確認され,日本の公務従事者のPSMを測定するために利用できる可能性がある.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.2023-005-B