高年齢労働者に配慮した職場改善の取り組み状況:和歌山県内事業場の規模別比較から

目的:2021年に策定された「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(以下,ガイドライン)」は,事業者に実施可能な高年齢労働者の労働災害防止対策に積極的に取り組むことを求めている.そこで,本研究では,事業場におけるガイドラインの周知状況と,高年齢労働者に配慮した職場改善の取り組み状況を事業場の規模別に明らかにすることを目的とした.対象と方法:和歌山産業保健総合支援センターの事業場リストから,無作為に抽出した和歌山県内の780事業場を対象に,無記名自記式の質問紙を郵送により配布した.質問紙は,事業場の概要,ガイドラインの周知状況,安全衛生の総括管理,労働条件・作業者・作業負荷軽減・作業...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2023/11/20, Vol.65(6), pp.355-365
Hauptverfasser: 森岡, 郁晴, 竹下, 達也, 宮下, 和久, 藤吉, 朗, 生田, 善太郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:目的:2021年に策定された「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(以下,ガイドライン)」は,事業者に実施可能な高年齢労働者の労働災害防止対策に積極的に取り組むことを求めている.そこで,本研究では,事業場におけるガイドラインの周知状況と,高年齢労働者に配慮した職場改善の取り組み状況を事業場の規模別に明らかにすることを目的とした.対象と方法:和歌山産業保健総合支援センターの事業場リストから,無作為に抽出した和歌山県内の780事業場を対象に,無記名自記式の質問紙を郵送により配布した.質問紙は,事業場の概要,ガイドラインの周知状況,安全衛生の総括管理,労働条件・作業者・作業負荷軽減・作業姿勢・作業環境・安全・健康への配慮を尋ねる内容とした.結果:質問紙は171事業場から回収された(有効回収率:21.9%).ガイドラインは,小規模(労働者数50人未満)の事業場で「名前も聞いたことがない」が39.0%と多く,中規模(労働者数50–99人),大規模(労働者数100人以上)の事業場で「名前は聞いたことがあるが,内容は知らない」が多かった(中規模33.3%,大規模47.8%).高年齢労働者が安心して安全に働くための職場環境の整備等に要する費用を補助する制度(以下,補助制度)は,いずれの規模の事業場でも「名前も聞いたことがない」が多かった.安全衛生の総括管理では,高年齢労働者による労働災害の発生リスクに対する相談しやすい体制整備を行っている事業場はいずれの規模でも半数を超えていた.労働条件や作業者への配慮ができている事業場は,いずれの規模でも半数を超えていた.しかし,作業負担軽減・作業姿勢・作業環境・安全・健康への配慮ができている事業場が半数を超えている項目は,事業場の規模に関係なく少なかったことから,職場改善はあまり進んでいないことが明らかになった.結論:高年齢労働者に配慮した職場改善を進めるためには,ガイドラインの周知と補助制度の活用による職場改善に積極的に取り組む必要性が示唆された.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.2023-002-E