第6回交通における安全と産業衛生の研究会
第6回目を迎えた当研究会は, 第21回日本産業衛生学会 産業医・産業看護全国協議会内で, 平成23年11月25日午前に開催された. 今回は公共交通の中で鉄道における運転士の健康管理をテーマに, 基調課題講演と一般演題4題の発表が行われた. 基調課題講演は, 「鉄道運転士に求められる視機能とは―現状と課題」と題して, JR東日本健康推進センター医学適性科部長, 笠原悦夫先生にご登壇いただいた(座長; 福本正勝). 視機能について, 特に視力についての歴史的背景, また鉄道における運転士に求められる視力の考え方や, その経過が詳細に語られた. 学術的にも, また歴史的も興味深い内容で, 講師である...
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Veröffentlicht in: | 産業衛生学雑誌 2012-03, Vol.54 (2), p.87-88 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 第6回目を迎えた当研究会は, 第21回日本産業衛生学会 産業医・産業看護全国協議会内で, 平成23年11月25日午前に開催された. 今回は公共交通の中で鉄道における運転士の健康管理をテーマに, 基調課題講演と一般演題4題の発表が行われた. 基調課題講演は, 「鉄道運転士に求められる視機能とは―現状と課題」と題して, JR東日本健康推進センター医学適性科部長, 笠原悦夫先生にご登壇いただいた(座長; 福本正勝). 視機能について, 特に視力についての歴史的背景, また鉄道における運転士に求められる視力の考え方や, その経過が詳細に語られた. 学術的にも, また歴史的も興味深い内容で, 講師である笠原先生の日頃の姿勢が垣間見られた感があった. 現行の動力操縦者免許の視力合格基準が「各眼とも裸眼, または矯正で1.0以上の視力」であり, これは他の商業輸送の運転・操縦者よりも厳しいものであることから, 運転士の確保と健康管理の両面を踏まえて, 実態に即した基準の見直しを求めるための内容である. 医学適性の考え方について, 非常に有意義であった. 一般演題は, 「公共輸送の安全に関連した運転者の健康管理」と題して4題ご口演をいただいた. 座長は, 湯口恭利先生(JR東日本健康推進センター所長), 佐久間和代先生(JR西日本広島健康増進センター部長)にお願いした. 最初の口演は, 「運転士登用の医学適性検査の際に網膜色素変性症が発見された事例」(JR西日本健康増進センター 黒石真紀子先生)であった. スクリーニング検査で偶然に予後不良の疾患が発見された事例について, 医学適性が当人の今後のライフスタイルに与える影響も大きく, 医学適性検査を行う者の課題として共有した. 二つ目は, 「高血圧性脳症と診断された主任運転士の一例」(JR東日本健康推進センター 金子知代先生)として, 血圧の評価・コントロール方法, また治療コンプライアンスが悪い場合の対応について, 意見交換が行われた. 三つ目は, 「下垂体腫瘍と診断された主任車掌の一例」(JR東日本健康推進センター 山本尚寿先生)として, 下垂体腫瘍と診断され, 経蝶形骨洞手術を施行することになった事例について, 医学適性の適否判断をいかにするか意見交換がなされた. 四つ目は, 「疾病をもった鉄道乗務員の就業上の判断」(JR東日本健康推進センター 柿沼充先生)として, 疾病によっては, 就業上の配慮が主治医と産業医の判断に相違を認めることがある事例が提示された. 医学適性と健康管理, また治療に関わる主治医との連携など, 医学適性に関わる医師の共通の課題について意見交換がなされ, 有意義な口演4題であった. |
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ISSN: | 1341-0725 |