14. フェニトロチオン及び3-メチル-4-ニトロフェノール雄性ラット生殖器への影響－2. 副生殖器

有機リン系殺虫剤のFNTおよびその代謝物であるMNPは, ともに抗アンドロゲン作用が報告されている. 今回, FNT投与により血漿中のテストステロン濃度の低下が見られたことから, FNTおよびMNPのラット副生殖器（精巣上体, 前立腺, 精嚢）への影響を, 病理組織学的手法を用いて解析した. その結果, FNT投与により, 精巣上体頭部管腔上皮細胞に多数の空胞が見られ, また, 精嚢腺上皮の増生も観察された. MNP投与による精巣上体, 精嚢の形態的変化は見られなかった. 前立腺への影響は, FNT, MNPともに見られなかった. このことより, 精巣上体および精嚢にはFNTそのもの, もしくはMNP以外の代謝物が作用している可能性が考えられる. 一方, 精子成熟に関与する精巣上体の分泌性ホスパリーゼA2-IIIの発現は, FNT, MNP投与群ともに減少しており, これは両者で観察された精子への影響と対応していると考えられる.