4. 1-ブロモプロパン曝露によるヒト中枢神経病変の核磁気共鳴画像(MRI)解析

我々は, これまでに動物実験, 疫学調査, ヒト症例研究で, 1-ブロモプロパン(1BP)が強い中枢神経毒性を有することを明らかにしている. 今回, 1BPに高濃度に曝露されたと考えられる症例で中枢神経MRIに異常を示した症例を複数見出したため, 報告する. 症例1:1-ブロモプロパンを洗浄剤として用い, 手を用いて金属部品を脱脂していた. 頭部MRIにて側脳室周囲にT2高信号領域があった. 脊髄MRIでは, 第2頸椎領域にやや背側優位かつ中心優位のT2高信号病変があった. 頭部MRIの病変は側脳室に近傍の白質に接するもので, 神経線維に沿った楕円形状であった. 症例2:1BPを沸点近くの温度...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2010, Vol.52 (2), p.108-108
Hauptverfasser: 近藤喜代太, 渡辺宏久, 伊藤高行, 祖父江元, 市原学
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:我々は, これまでに動物実験, 疫学調査, ヒト症例研究で, 1-ブロモプロパン(1BP)が強い中枢神経毒性を有することを明らかにしている. 今回, 1BPに高濃度に曝露されたと考えられる症例で中枢神経MRIに異常を示した症例を複数見出したため, 報告する. 症例1:1-ブロモプロパンを洗浄剤として用い, 手を用いて金属部品を脱脂していた. 頭部MRIにて側脳室周囲にT2高信号領域があった. 脊髄MRIでは, 第2頸椎領域にやや背側優位かつ中心優位のT2高信号病変があった. 頭部MRIの病変は側脳室に近傍の白質に接するもので, 神経線維に沿った楕円形状であった. 症例2:1BPを沸点近くの温度まで加熱した洗浄槽の近くで働いていた. 側脳室周囲病変が観察された. 左側脳室の大きさが不均等であった. 上記二つの症例に見られた側脳室周囲白質の変化は, Sclarの症例とも一致しているが, 多発性硬化症との慎重な鑑別が必要である.
ISSN:1341-0725