2. 糖尿病予防に運動が効く理由(わけ)
平成19年国民健康・栄養調査によれば, 糖尿病が強く疑われる人及び可能性を否定できない人を合わせて約2,210万人と推定されている. 厚生労働省が示す「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」という標語には運動への期待がこめられている. 2型糖尿病者の糖処理能力の低下は, 主に骨格筋の機能低下に起因する. 骨格筋は, インスリン作用に応じた糖処理機能とインスリン作用を介さない糖処理機能の2つのシステムにより血糖調節の一役を担う. 食後, 血中グルコース濃度に応じたインスリン分泌が起こり, インスリンの標的組織, とりわけ骨格筋での糖取り込みは増加する. また, 骨格筋はインスリンとは独...
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Veröffentlicht in: | 産業衛生学雑誌 2009, Vol.51 (4), p.47-47 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 平成19年国民健康・栄養調査によれば, 糖尿病が強く疑われる人及び可能性を否定できない人を合わせて約2,210万人と推定されている. 厚生労働省が示す「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」という標語には運動への期待がこめられている. 2型糖尿病者の糖処理能力の低下は, 主に骨格筋の機能低下に起因する. 骨格筋は, インスリン作用に応じた糖処理機能とインスリン作用を介さない糖処理機能の2つのシステムにより血糖調節の一役を担う. 食後, 血中グルコース濃度に応じたインスリン分泌が起こり, インスリンの標的組織, とりわけ骨格筋での糖取り込みは増加する. また, 骨格筋はインスリンとは独立したメカニズムで糖を取り込むため, 両者の能力を高めることができれば, 食後の血糖上昇をいち早く下げることができる. これらの機能に優れた者の膵β細胞は次の食事までの間, 休息することができるため, 膵β細胞が疲弊することはない. 運動はインスリンの効きを良くし, また同時にインスリンに頼らず血糖を筋肉に運び入れるスイッチをオンにする. その立役者の1人はAMPキナーゼである. この酵素の運動刺激による活性化は, 2型糖尿病者においても健常者と同程度であることが報告されている. すなわち, インスリンの効きが低下した糖尿病者に対して運動療法の有効性を示す1つの根拠である. 近年, 2型糖尿病者に30分の運動を10分×3に分けて午前, 午後, 夕方と実施した場合, 耐糖能の改善に有効であることが報告され, いつでも気軽にできるウォーキングや会社内で仕事の合間にできる“すきまエクササイズ”が功を奏するかもしれない. ひと昔の生活を振り返ると人間は食事をとるために動いていた. 食事の支度に身体を動かすことがなくなった今, 意識的にからだを動かす時間を設け, 日常生活化させる術を養う必要があるだろう. |
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ISSN: | 1341-0725 |