2.札幌市職員における悪性腫瘍による休務・休職者の喫煙歴について

札幌市職員の喫煙率はわが国全体に比較して高い. そのため職員各個人が自分の職場に於いて, 喫煙による生命の危険性の一つである悪性腫瘍発症について自己認識する必要があり, 我々はその情報を提供することを求められている. 最近の札幌市職員休務, 休職者より確定診断された悪性腫瘍発症と喫煙の関連について検討した. また, 札幌市職員の中でも職種上異動が少なく喫煙率の高い職場である消防局についても検討を加えた. 対象者は平成9年度から平成16年度までの8年間当施設にて健康診断を受けた札幌市職員19,111人, その中で消防職員は1,990人である. 悪性腫瘍発症者の喫煙歴は発症年度又は前年度の健診時の...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2006-03, Vol.48 (2), p.56-57
Hauptverfasser: 林俊之, 浜本淳二, 駒井恵美子, 斎藤師子, 西澤俊子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:札幌市職員の喫煙率はわが国全体に比較して高い. そのため職員各個人が自分の職場に於いて, 喫煙による生命の危険性の一つである悪性腫瘍発症について自己認識する必要があり, 我々はその情報を提供することを求められている. 最近の札幌市職員休務, 休職者より確定診断された悪性腫瘍発症と喫煙の関連について検討した. また, 札幌市職員の中でも職種上異動が少なく喫煙率の高い職場である消防局についても検討を加えた. 対象者は平成9年度から平成16年度までの8年間当施設にて健康診断を受けた札幌市職員19,111人, その中で消防職員は1,990人である. 悪性腫瘍発症者の喫煙歴は発症年度又は前年度の健診時の問診票で, 非発症者は最終健診時にて調査した. 8年間の札幌市職員19,111人中, 喫煙者は7,805人(40.8%)禁煙者3,462人(18.1%)非喫煙者7,752人(40.6%)不詳者92人(0.5%)であり, その期間中の悪性腫瘍発症者は296人に認め, その中で喫煙者144人, 禁煙者55人, 非喫煙者87人であった. この中で, 直接タバコ煙に曝露される臓器(舌, 口腔, 咽頭, 喉頭, 肺, 食道, 胃)の発症は喫煙者51人, 禁煙者18人, 非喫煙者12人であった. また, 喫煙者144人中, 喫煙本数20本/日以上および喫煙年数20年以上の者は108人であった. 消防局職員については1,990人中喫煙者1,127人(56.6%)と高喫煙率であり, 悪性腫瘍発症者は23人に認め, その中で喫煙者17人, 禁煙者5人, 非喫煙者1人であった. この中で直接たばこ煙に曝露される臓器の発症者は5人であった. また, 喫煙者17人中, 喫煙本数20本/日以上および喫煙年数20年以上の者は16人であった. 札幌市職員においても喫煙は悪性腫瘍発症の危険因子である事が示唆され, 我々の禁煙指導は職員自身が働いている職場での喫煙による生命への危険を提示しながら各職場への指導, 支援が必要と考えられる.
ISSN:1341-0725