「働く人の健康(元気)を生み出す組織(職場)づくり」のまとめ
昨年に引き続いて2回目となる今回のリレーワークショップは, 約140名の参加者を得て, 会場内に6つのグループを形成してのワークショップとなった. テーマには, 「過重労働問題」が掲げられ, その要因と対策について議論が行われた. 議論の進め方は, ワークショップの本来の意義を踏まえて, 最終的に形ある結論を導き出し, さらにリレー企画であることから, 次回のワークショップに結論を引き渡せるようにしようということを主眼に企画された. 進め方について常任担当の広瀬俊雄から要因抽出と対策案を効率的に行う方式を説明をした. 想定を大きく上回る140名という(事前登録以外の当日参加が30名にのぼる)多...
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Veröffentlicht in: | 産業衛生学雑誌 2006-01, Vol.48 (1), p.15-16 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 昨年に引き続いて2回目となる今回のリレーワークショップは, 約140名の参加者を得て, 会場内に6つのグループを形成してのワークショップとなった. テーマには, 「過重労働問題」が掲げられ, その要因と対策について議論が行われた. 議論の進め方は, ワークショップの本来の意義を踏まえて, 最終的に形ある結論を導き出し, さらにリレー企画であることから, 次回のワークショップに結論を引き渡せるようにしようということを主眼に企画された. 進め方について常任担当の広瀬俊雄から要因抽出と対策案を効率的に行う方式を説明をした. 想定を大きく上回る140名という(事前登録以外の当日参加が30名にのぼる)多数が主体的に参加出来, 大変にユニークで有効, 有意義との評価を得た. 各座長によるグループ員の自己紹介の後, グループワークが開始された. まず過重労働の要因についての検討であるが, 最初に各人が, 社会的で根本的と思われる要因を赤色の紙に, そして比較的容易に取り組めると考えられる要因を青色の紙に1つずつ書き出した. 次に書き出された数々の要因がグループ内で討議されて, 最終的には赤紙と青色の各班5つずつにまとめられた. メインテーブルには各グループの座長とコアメンバー2名の計3名, 全体で18名が中央テーブルに集合し各グループから提出された赤色紙, 青色紙に記載されているそれぞれ30の要因を, 6つの要因に絞る作業が行われた. その作業における議論ややり取りはすべてマイクを持って語られ, 公開され, 全参加者がそれを見, 聞きするという仕組みをとった. 社会的に重要課題であるとされる6要因と個人的で比較的容易な課題であろうとされる6要因が抽出し, それぞれの要因は各1つずつ6グループに分配され, その要因についての予防, 対策方法がグループ内で議論された. 抽出された要因を紹介すると, (A)社会的, 根本的要因:(1)長い総拘束時間(=労働時間+残業時間+通勤時間), (2)労働観の歪み, (3)労務管理上の不十分さ, (4)管理者による対策の不徹底, (5)雇用環境の悪化と人員不足, (6)人間関係の悪化, (B)個人的, 比較的容易に取り組めそうな要因:(1)産業保健スタッフの資質向上, (2)生活習慣病対策, (3)単身赴任の軽減, (4)セルフマネジメントの推進, (5)裁量権増加と作業負荷軽減, (6)職場支援体制の充実であった. これらの対策案が各グループで討議され, その後, 各グループの座長がグループ内で検討された対策案をまとめた. その内容の例は以下の如くである. (A)(1)管理監督者への「職場のマネージメント研修の徹底」「具体的改善策の実施能力, (2)「風通しの良い企業文化形成」「健全な労働観育成研修」, (3)「労務管理好事例の公表とガイドラインへの採用」「労働者の健康を考慮した労務管理の評価の採用」, (4)「実態に即し効果的な法体系への革新」「管理者を法規制から除外しない」(5)「雇用を増やす抜本対策」「安全衛生委員会, 労働組合(職員組織)の発言力強化」(6)「職場各層でのコミュニケーションの推進」「活発な人事交流への支援」(B)(1)過重労働, 過労死に関する知識, 事例, 行政動向の研修と事業所内動向把握力の向上, (2)健康作りの必要性の啓蒙, 「生活習慣病」予防への支援活動, (3)期間の全般的短縮と断れる制度に, 単身赴任中の産業保健スタッフからの支援, (4)教育, 研修機会と自己目標実現しうる環境作り, (5)まずは管理者教育, 総拘束時間短縮, (6)相談役を置く, 職場内少人数単位でのミーティング. 以上の内容を各班の代表が発表し, 最後に常任担当の和田晴美が全体のまとめをした. 全体的に議論は非常に活発に行われており, 過重労働に導かれる要因や過程についての検討がグループ内で深く行われた. またいくつかの論点に集約するというグループワークとしての作業や, 多角度から一つの論点を眺めるという作業は, 参加者にとって過重労働問題を掘り下げる上で有意義な企画であった. 最終的なまとめ(I~V回)は学会誌で報告される予定となっているが, 過重労働対策として一般労働者のセルフマネジメントから企業風土への改革まで幅広く小単位で論じられたのは大変に印象深かった. 来年の3回目は, 常任担当者と来期の担当者で検討されるが, 例えば「職能や雇用形態毎の検討」「マネージメントシステムによる対応」等が考えられている. 会員からの意見を期待したい. |
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ISSN: | 1341-0725 |