5.札幌市職員の休務,休職と悪性新生物検診との関連について

【目的】当施設では, 札幌市職員の健康診断業務を年1回行っている. 今回, その中で一般疾病の休務, 休職の原因となっている疾病で新生物, 特に予後に大きな影響を及ぼす悪性新生物についての当施設における1次検診としての意義と問題点を検討した. 【対象及び方法】平成9年4月より平成16年3月迄の7年間で一般疾病(精神疾患, 損傷および中毒患者を除く)に起因し, 30日以上休んだ休務, 休職者のなかで最も多い悪性新生物を対象とした. 方法は健診受診の有無, 検診の精度, 発生臓器の種類, 頻度などを調査した. 【結果】新生物による休務, 休職者は389人であり, 特に悪性新生物は278人に認め,...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2005-03, Vol.47 (2), p.94-94
Hauptverfasser: 林 俊之, 浜本淳二, 駒井恵美子, 中林武仁, 溝口久富, 西澤俊子, 高田睦子, 斎藤師子, 草野祐子, 有原友子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】当施設では, 札幌市職員の健康診断業務を年1回行っている. 今回, その中で一般疾病の休務, 休職の原因となっている疾病で新生物, 特に予後に大きな影響を及ぼす悪性新生物についての当施設における1次検診としての意義と問題点を検討した. 【対象及び方法】平成9年4月より平成16年3月迄の7年間で一般疾病(精神疾患, 損傷および中毒患者を除く)に起因し, 30日以上休んだ休務, 休職者のなかで最も多い悪性新生物を対象とした. 方法は健診受診の有無, 検診の精度, 発生臓器の種類, 頻度などを調査した. 【結果】新生物による休務, 休職者は389人であり, 特に悪性新生物は278人に認め, 新生物全体の71.5%を占めた. この悪性新生物発見の健診関与の有無については, 当施設での1次検診異常所見にて医療機関紹介で診断された人数は144人であり, 自覚症状出現等にて直接医療機関によるものは134人であった. この直接医療機関受診にて発見された悪性新生物について, 当施設での健診結果を分析すると, 第1に1年以内の健診にて悪性新生物診断に関連する項目の異常なしが29例で, 特に, 胃がん6例, 肺がん5例, 乳がん5例, 大腸がん4例と多く認めている. 第2に健診を受診するが悪性新生物診断への検診項目なしで1年以内に発見は80例, 第3に健診を未受診, または診断への関連項目を未受診で発見は25例であった. 【結論】今後の課題として, 第1に健康診断における1次検診の偽陰性の数である. この事は医療機器精度や医療技術者の診断能力の限界等が考えられるが, 診断向上のために乳がん検診へのマンモグラフィー検査導入の検討が必要であると考えられる. 第2に検診項目の充実があげられる. しかし, 財政上の問題もあり1次検診の限界も考慮せざるを得ない, 第3には我々が職員の健診に対する重要性を再認識するように今後も一層努力する必要性がある.
ISSN:1341-0725