11.「過労死」予防における現行法制度の問題点と今後の整備の方向性

現行の労働者災害補償保険法には, 「過労死」予防を目的とする「2次健康診断等給付」が規定され, 実施されている. しかし, この制度は, 給付要件や2次健康診断の検査項目から明らかなように, 必ずしも「過労死」予防に実効性あるものとはなっていない. 「過労死」予防に対処するためには, 産業保健固有の問題だとする発想を転換する必要がある. 「過労死」の予防には, 基礎疾患の十分な医学的検討が必要である. これは, 事業場という産業保健の領域のみの問題ではなく, 生活一般と結びつく地域保健の領域の問題でもある. そこで, 「過労死」の予防を, 産業保健固有の問題として捉えるのではなく, 広く地域保...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2005-01, Vol.47 (1), p.49-49
Hauptverfasser: 湯木知史, 吉永侃夫, 小泉昭夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:現行の労働者災害補償保険法には, 「過労死」予防を目的とする「2次健康診断等給付」が規定され, 実施されている. しかし, この制度は, 給付要件や2次健康診断の検査項目から明らかなように, 必ずしも「過労死」予防に実効性あるものとはなっていない. 「過労死」予防に対処するためには, 産業保健固有の問題だとする発想を転換する必要がある. 「過労死」の予防には, 基礎疾患の十分な医学的検討が必要である. これは, 事業場という産業保健の領域のみの問題ではなく, 生活一般と結びつく地域保健の領域の問題でもある. そこで, 「過労死」の予防を, 産業保健固有の問題として捉えるのではなく, 広く地域保健の領域の問題と捉え直し, 原則論を地域保健のあり方として制度化していくことが必要である. その上で, 事業場における業務過重性の問題を, 固有事項として産業保健領域で扱っていくことが合理的である.
ISSN:1341-0725