インシデントレポートを用いた看護業務の検討と組織要因の分析‐6病院での比較検討

【目的】産業衛生学的視点から医療事故予防のために, 高リスク業務, 要因を抽出し, 対策立案優先順位を決定できるツールを開発した. 今回, 看護師に適用を限定し6病院で試行, 検討した. 【方法】全国6病院の看護部門から1年分のインシデントレポート(以下事例)を収集し, 看護業務件数調査を施行した. 看護業務125項目, 重要度(実際に患者に及んだ影響)6段階, 危険度(潜在的危険性)5段階を設定し事例ごとに分析した. 潜在的に弱い組織文化(組織要因)があるため, ある媒体(直接要因)を通して実際のエラー行為が生じるというモデルを考え「連関鎖」と名づけ, 業務ごとに集計した. また, 事例数,...

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Hauptverfasser: 井上佳代子, 吉永侃夫, 小泉昭夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【目的】産業衛生学的視点から医療事故予防のために, 高リスク業務, 要因を抽出し, 対策立案優先順位を決定できるツールを開発した. 今回, 看護師に適用を限定し6病院で試行, 検討した. 【方法】全国6病院の看護部門から1年分のインシデントレポート(以下事例)を収集し, 看護業務件数調査を施行した. 看護業務125項目, 重要度(実際に患者に及んだ影響)6段階, 危険度(潜在的危険性)5段階を設定し事例ごとに分析した. 潜在的に弱い組織文化(組織要因)があるため, ある媒体(直接要因)を通して実際のエラー行為が生じるというモデルを考え「連関鎖」と名づけ, 業務ごとに集計した. また, 事例数, エラー率, 重要度, 危険度を連関鎖ごとに集計して図示し具体的対策立案の優先順位を明らかにした. 【結果】間接看護業務件数は病院間で差があった. 6病院総合してエラー率の高い, 事例数の多い連関鎖は2426(規則遵守されていないため看護師個人を通してルールベースの事例が生じた), 1461(労働管理が不十分なため看護師個人を通してスキルベースの事例が生じた), 2321(標準化がなされていないために作業レベルでルールベースの事例が生じた)であった. 【結語】今回開発したシステムは病院の組織要因を明らかにし, 労働管理など病院統治の問題点を指摘することができた.
ISSN:1341-0725