産業・経済変革期の職場のストレス対策の進め方

職場のストレスおよびその対策は脱工業化を遂げた各国における産業保健の重要な課題となっている. たとえばEUにおいては3回にわたる労働条件に関する調査結果から, ストレス, 筋骨格系の疾患等が職場における主要なリスクと考えられているし, 米国においては産業保健における21の優先的課題をリストアップしたNORAの中に仕事組織のあり方がストレスに関連する項目として盛り込まれている. 本報では, 欧米, 主にEUを中心とした国々のストレス対策の特徴を概観した. 現在は, 多くのストレス対策が第2次・3次予防対策が中心であり, また作業者個人あるいはグループを対象とした活動がほとんどである. しかし,...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 2002, Vol.44 (1), p.1-5
Hauptverfasser: 小林章雄, 竹内清美
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:職場のストレスおよびその対策は脱工業化を遂げた各国における産業保健の重要な課題となっている. たとえばEUにおいては3回にわたる労働条件に関する調査結果から, ストレス, 筋骨格系の疾患等が職場における主要なリスクと考えられているし, 米国においては産業保健における21の優先的課題をリストアップしたNORAの中に仕事組織のあり方がストレスに関連する項目として盛り込まれている. 本報では, 欧米, 主にEUを中心とした国々のストレス対策の特徴を概観した. 現在は, 多くのストレス対策が第2次・3次予防対策が中心であり, また作業者個人あるいはグループを対象とした活動がほとんどである. しかし, 将来的には第1次予防が重視され, リスクの発生源としての組織のあり方へのアプローチが重視されるだろう. ストレスについての取り組みの進んだ国では, 国レベルでの施策や法律的整備と企業レベルでの活動がうまくかみ合って成果をあげている例がみられ, 今後の参考とすべきであろう. さまざまなストレス対策の成功例を分析整理してみると, それらが成功した要因として, 1)ステップワイズおよびシステマティックなアプローチ, 2)ストレス対策の目的, 役割, 責任の所在, 計画と財政的な裏づけの明確化, 3)適切な分析によるストレスの評価, 4)作業環境要因と個人の双方に対するストレス対策の適切なコンビネーション, 5)参加型アプローチによる中間管理職および従業員の自発的参加, 6)経営トップの支援などが挙げられる. また, コストベネフィット分析などを用いてストレス対策の効果を評価すること, より包括的な職場のストレス対策に活用するなどが重要である.
ISSN:1341-0725