酒造業における労働実態をめぐって
伝統産業のひとつである日本酒製造業の労働実態を安全衛生面から検討した. 労働形態は, 農村からの出稼ぎで, 季節労働の一種である. 「しきたり」に従って, 早朝から長時間拘束される労働条件は, 若者にとって, 魅力のない職場になっている. そのため, 蔵人の減少と高齢化が急速に進んでいる. 麹室は, 高温多湿で, 仕込みタンクとともに酸欠作業環境である. 酒蔵全体は逆に低温, 低照度で, 洗米等の用水は冷く, 快適職場にはほど遠い. 一方, 全国の死亡災害の発生状況をみると, 全例男性で, 50歳以上の中・高年労働者が多く, 70歳以上の例も複数見られ, 規模別では30人未満の小・零細事業所が...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 伝統産業のひとつである日本酒製造業の労働実態を安全衛生面から検討した. 労働形態は, 農村からの出稼ぎで, 季節労働の一種である. 「しきたり」に従って, 早朝から長時間拘束される労働条件は, 若者にとって, 魅力のない職場になっている. そのため, 蔵人の減少と高齢化が急速に進んでいる. 麹室は, 高温多湿で, 仕込みタンクとともに酸欠作業環境である. 酒蔵全体は逆に低温, 低照度で, 洗米等の用水は冷く, 快適職場にはほど遠い. 一方, 全国の死亡災害の発生状況をみると, 全例男性で, 50歳以上の中・高年労働者が多く, 70歳以上の例も複数見られ, 規模別では30人未満の小・零細事業所がもっとも多かった. 個別に災害状況をみると, 仕込みタンクの内外への転落と酸素欠乏が目立つ. 杜氏の「勘と経験」に頼る伝統的な酒づくりを阻害しない配慮のもとの作業条件や作業環境の改善を進める必要がある. |
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ISSN: | 1341-0725 |