2,4,6-トリニトロトルエンとその関連化合物の還元的代謝の際に生じる活性酸素の産生

2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)は古くから爆薬の原料として用いられている産業化学物質であり, 現在でも我が国を含む数カ国で製造されている1). TNTは生体に気道または皮膚から吸収され中毒を引き起こす2,3). その主な症状は造血障害(貧血), 肝臓障害ならびに白内障などが知られている. これまで, TNTの毒性発現とその生体内変換との関係を調べる目的で, 実験動物を用いて代謝研究が行われてきた4,5). その結果, 主代謝物は4-アミノ-2,6-ジニトロトルエン(ADNT)であることが解明され, さらにその中間体である4-ヒドロキシアミノ-2,6-ジニトロトルエン(HADNT)が毒性...

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Veröffentlicht in:産業衛生学雑誌 1999/01/20, Vol.41(1), pp.11-12
Hauptverfasser: 桐谷, 聖子, 熊谷, 嘉人, 李, 松, 下條, 信弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)は古くから爆薬の原料として用いられている産業化学物質であり, 現在でも我が国を含む数カ国で製造されている1). TNTは生体に気道または皮膚から吸収され中毒を引き起こす2,3). その主な症状は造血障害(貧血), 肝臓障害ならびに白内障などが知られている. これまで, TNTの毒性発現とその生体内変換との関係を調べる目的で, 実験動物を用いて代謝研究が行われてきた4,5). その結果, 主代謝物は4-アミノ-2,6-ジニトロトルエン(ADNT)であることが解明され, さらにその中間体である4-ヒドロキシアミノ-2,6-ジニトロトルエン(HADNT)が毒性発現の主役を演じていることが推察されている6). ところで, TNTの肝臓障害や白内障の発症メカニズムとして活性酸素種の異常発生が示唆されているが5), TNTとその還元代謝物による活性酸素種の産生に関する定量的検討はなされていない. 今回我々は, ラット肝ミクロソームによるTNTとその代謝物, ならびにニトロ誘導体により産生された過酸化水素について検討を行った.
ISSN:1341-0725
1349-533X
DOI:10.1539/sangyoeisei.KJ00004290050