幼稚園における教諭の腰部負担

幼稚園教諭の腰部負担を検討するため, 4名の教諭についてビデオ録画を行い, 作業内容および作業姿勢の分析を行った.また, 12名の教諭について, 傾斜角モニターを行い, 勤務時間中の上体傾斜角を連続的に測定した.幼稚園教諭は, 勤務時間の67%を児童と接触のある作業, すなわち「室内集団保育」「室内自由保育」「屋外保育」「食事準備・片付け」および「介助作業」に費やしていた.また, 勤務時間中に休憩は取っていなかった.腰部に負担のある3姿勢, すなわち「前傾」「しゃがみ」および「膝立ち」の累積時間は勤務時間の36%に及んでいた.上体傾斜角が20度以上の累積時間は勤務時間の43%であった.深い前傾(上体傾斜角>45度)から上体を引き起こす動作は平均で1時間当たり95回もあった.4-5歳児学級担当の保育園保母と比較したが, 作業内容の時間分布は全体としてよく類似していた.また, 作業姿勢の時間分布もほぼ同様であったが, 「前傾」「しゃがみ」および「膝立ち」の累積時間は幼稚園教諭の方が長かった.また, 上体傾斜クラスの時間分布では, 45度以上の累積時間が幼稚園教諭で有意に長かった.また, 上体の引き起こし動作の頻度では有意差はなかったが, 幼稚園教諭の方が多い傾向にあった.これらの結果は, 幼稚園教諭では腰部への負担がかなり大きい事を示している.