肺毒性を有するO,O,S-Trimethyl phosphorothioateは, 気管支上皮のProgrammed cell deathを促進する
気管支のクララ細胞の脱落は, 多くの肺毒性を有する毒物の曝露後最も初期における変化である. 曝露後直後からクララ細胞の脱落は生じその後, 数十時間の経過の後に肺胞上皮細胞の壊死が生じる. さらに, 報告されているクララ細胞の形態的変化は, programmed cell death(PCD:Apoptosis)に至る細胞と類似している. 本研究においては, 肺毒性物質の曝露後の最も初期の変化であるクララ細胞の反応に注目し, PCDの可能性を検討した. O,O,S-Trimethyl Phosphorothioate(OOS-TMP)を肺毒性物質として用い, ラットに60mg/kg腹腔投与後,...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 産業衛生学雑誌 1996, Vol.38 (5), p.255-256 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 気管支のクララ細胞の脱落は, 多くの肺毒性を有する毒物の曝露後最も初期における変化である. 曝露後直後からクララ細胞の脱落は生じその後, 数十時間の経過の後に肺胞上皮細胞の壊死が生じる. さらに, 報告されているクララ細胞の形態的変化は, programmed cell death(PCD:Apoptosis)に至る細胞と類似している. 本研究においては, 肺毒性物質の曝露後の最も初期の変化であるクララ細胞の反応に注目し, PCDの可能性を検討した. O,O,S-Trimethyl Phosphorothioate(OOS-TMP)を肺毒性物質として用い, ラットに60mg/kg腹腔投与後, 2~48時間にわたりクララ細胞および肺胞上皮細胞の形態的変化を追跡した. PCDの判定には, In situ 3-OHラベリングを用い免疫組織化学的方法を用い, 気管支, 肺胞の領域におけるPCD陽性細胞を検索した. クララ細胞の形態的変化は, 投与後2時間から認められた. 6時間では, 多くの細胞が気管支内に脱落していた. PCD陽性細胞は対照ラットにも認められたが, OOS-TMP投与ラットでは, 6時間で13倍に増加し, 48時間で対照ラットの値にまで低下した. 対照ラット及び投与ラットに認められたPCD陽性細胞は, クララ細胞であり, 免疫電顕を用いた検討では, 両群のラットで認められたクララ細胞に形態的な差異は認められなかった. この一方, 肺胞領域では, 曝露群においてのみ, 投与後, 48時間で肺胞上皮細胞の壊死が認められ, これらはPCD陰性であった. 以上より, 気管支上皮におけるPCD陽性細胞は, 投与群, 対照群のいずれにおいてもクララ細胞であった. 曝露後におけるPCD陽性クララ細胞の増加は, PCDが急速にクララ細胞で進行したことを示唆する. 肺毒性物質に対する反応は, クララ細胞では, PCDの著しい促進であり, 肺胞細胞での変化は, 正常ラットで認められない細胞壊死であった. クララ細胞, 肺胞上皮細胞の両細胞において, 肺毒性物質への生体反応における差異が認められた. (J Occup Health 1996;38:179-185) |
---|---|
ISSN: | 1341-0725 |