製薬企業における臨床予測精度向上のためのヒト試料利活用の推進機能について

現在,製薬企業の創薬研究において開発候補医薬品の上市確率の低下が課題となっており,更なる臨床予測精度の向上によるproof of concept(POC)取得率の改善が求められている.そのため,創薬研究段階での「動物」から「ヒト」へのマインドセットの変化により,ヒト病態生理の理解を深め,ヒト試料/情報を更に活用することが必要であると考えている.そこで,アステラス製薬株式会社ではヒト試料/情報を活用することによる創薬研究における更なる臨床予測精度の向上を目的としてヒト試料活用支援機能を構築し,各種ヒト試料/情報提供機関の情報やヒト試料/情報取得のノウハウの集積を行うことで,各創薬研究ニーズに合致...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2024/09/01, Vol.159(5), pp.300-303
Hauptverfasser: 沖本, りさ, 藤村, 高穂, 三原, 佳代子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:現在,製薬企業の創薬研究において開発候補医薬品の上市確率の低下が課題となっており,更なる臨床予測精度の向上によるproof of concept(POC)取得率の改善が求められている.そのため,創薬研究段階での「動物」から「ヒト」へのマインドセットの変化により,ヒト病態生理の理解を深め,ヒト試料/情報を更に活用することが必要であると考えている.そこで,アステラス製薬株式会社ではヒト試料/情報を活用することによる創薬研究における更なる臨床予測精度の向上を目的としてヒト試料活用支援機能を構築し,各種ヒト試料/情報提供機関の情報やヒト試料/情報取得のノウハウの集積を行うことで,各創薬研究ニーズに合致したヒト試料/情報の取得支援を行っている.具体的には,ヒト試料/情報の探索,提供機関との交渉・契約,倫理審査承認取得,試料の輸入・通関対応等をワンストップで行う支援体制を構築し,創薬研究者が研究ニーズに合致した高質なヒト試料/情報が容易かつ迅速に取得できるような機能を構築している.本機能を導入することで,創薬研究初期段階からの仮説検証,バイオマーカー探索,患者層別化検討などを実施する研究テーマ数が増加しており,臨床効果について予測精度の高い開発候補医薬品の創出に貢献することが期待される.近年,ヒト試料を用いた創薬研究の多様化により,経時的採取および新鮮なヒト試料が必要なケースが多くなってきているが,それら試料を入手する際の課題が多い.そのため,本機能では,特に前向きにヒト試料が取得可能なバイオバンクとの連携強化に努めている.本稿では,本機能で構築したヒト試料/情報の利活用推進のフローを示しながら我々の活動について紹介する.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.23063