Gタンパク質共役型受容体を標的としたコバレント創薬

Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)は,細胞内環境の変化(物理化学的刺激)を細胞内情報に変換し,伝達する上で極めて重要な役割を果たしている.リガンド刺激後,多くのGPCRはリン酸化され,β-アレスチン依存性の内在化によって再利用または分解される.このプロセスは,GPCRタンパク質の品質管理を維持するための重要な機構である.一方で,β-アレスチン感受性の低いGPCRがどのように品質管理されるかは不明であった.我々は,β-アレスチン低感受性のプリン作動性P2Y6受容体(P2Y6R)に着目し,リン酸化に依存しないGPCR内在化経路(Redox-dependent Alternative Inter...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2022, Vol.157(5), pp.356-360
Hauptverfasser: 近藤, 萌, 西山, 和宏, 西村, 明幸, 加藤, 百合, 西田, 基宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Gタンパク質共役型受容体(GPCRs)は,細胞内環境の変化(物理化学的刺激)を細胞内情報に変換し,伝達する上で極めて重要な役割を果たしている.リガンド刺激後,多くのGPCRはリン酸化され,β-アレスチン依存性の内在化によって再利用または分解される.このプロセスは,GPCRタンパク質の品質管理を維持するための重要な機構である.一方で,β-アレスチン感受性の低いGPCRがどのように品質管理されるかは不明であった.我々は,β-アレスチン低感受性のプリン作動性P2Y6受容体(P2Y6R)に着目し,リン酸化に依存しないGPCR内在化経路(Redox-dependent Alternative Internalization:REDAI)の存在を新たに見出した.P2Y6Rはマクロファージに高発現しており,大腸炎の発症・進展に深くかかわっている.我々は,食品中に含まれる親電子物質がP2Y6RのREDAIを誘導し,抗炎症効果をもたらす一方で,REDAIの抑制が大腸炎の悪化をもたらすことをマウスで実証した.これらの結果は,GPCRのREDAIを標的にする創薬が,炎症性疾患の画期的な治療戦略となることを強く示唆している.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.22045