腸内細菌由来の生理活性物質がアレルギー性疾患の発症に与える影響について

「1 アレルギー」 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など, アレルギー性疾患の罹患率が増え続けている. 一般的に食物アレルギーに代表されるI型アレルギーの発症機構は次の通りである. i)抗原物質が体内に侵入すると, これに特異的なIgE抗体が産生される. ii)このIgE抗体が, 皮膚や腸管などに存在するマスト細胞に結合する. iii)再び抗原が体内に侵入すると, IgEを介してマスト細胞が抗原を認識して, ヒスタミンやロイコトリエン, トロンボキサンなどの炎症を引き起こす物質を放出する. iv)これらの炎症性物質が, 下痢や嘔吐, 蕁麻疹, 痒みなどの症状を引き起こす. 「2 腸内細菌とアレ...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2022, Vol.157(1), pp.85-85
Hauptverfasser: 山本, 紗衣, 村田, 幸久
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「1 アレルギー」 食物アレルギーやアトピー性皮膚炎など, アレルギー性疾患の罹患率が増え続けている. 一般的に食物アレルギーに代表されるI型アレルギーの発症機構は次の通りである. i)抗原物質が体内に侵入すると, これに特異的なIgE抗体が産生される. ii)このIgE抗体が, 皮膚や腸管などに存在するマスト細胞に結合する. iii)再び抗原が体内に侵入すると, IgEを介してマスト細胞が抗原を認識して, ヒスタミンやロイコトリエン, トロンボキサンなどの炎症を引き起こす物質を放出する. iv)これらの炎症性物質が, 下痢や嘔吐, 蕁麻疹, 痒みなどの症状を引き起こす. 「2 腸内細菌とアレルギーの関係」 ヒトの腸管, 主に大腸には約1000種類, 100兆個もの腸内細菌が生息している. 我々は健康に生きるために必要なこれらの腸内細菌を, 母親もしくは周囲の環境から正しく引き継ぐ必要がある.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.21088