アンギオテンシン変換酵素阻害薬はブラジキニンを介して即効性抗うつ作用を示す

モノアミン仮説に基づく既存の抗うつ薬は, 治療効果発現までに数週間以上の服用が必要であり, 約3割のうつ病患者が治療抵抗性を示す. 一方で, 2000年代に全身麻酔薬ケタミンが, 治療抵抗性うつ病患者にも即効性抗うつ作用を示すことが明らかになり, その抗うつ作用には内側前頭前野(mPFC)における脳由来神経栄養因子(BDNF)の遊離と, その下流におけるmechanistic target of rapamycin complex 1(mTORC1)活性化を介したmPFC錐体ニューロンの可塑的変化が関与することが報告されている. また, 2019年3月には, エスケタミン(ケタミンのS異性体)...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2020, Vol.155(5), pp.353-353
1. Verfasser: 出山, 諭司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:モノアミン仮説に基づく既存の抗うつ薬は, 治療効果発現までに数週間以上の服用が必要であり, 約3割のうつ病患者が治療抵抗性を示す. 一方で, 2000年代に全身麻酔薬ケタミンが, 治療抵抗性うつ病患者にも即効性抗うつ作用を示すことが明らかになり, その抗うつ作用には内側前頭前野(mPFC)における脳由来神経栄養因子(BDNF)の遊離と, その下流におけるmechanistic target of rapamycin complex 1(mTORC1)活性化を介したmPFC錐体ニューロンの可塑的変化が関与することが報告されている. また, 2019年3月には, エスケタミン(ケタミンのS異性体)点鼻薬が治療抵抗性うつ病治療薬として米国で承認された. しかし, ラセミ体ケタミンやエスケタミンには, 薬物依存の懸念や幻覚・妄想などの副作用の問題があるため, その使用には制約がある.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.20035