新規スギ花粉症モデルマウス:アレルゲン舌下免疫療法の薬効評価と作用メカニズム解明を目指して
日本における花粉症の患者数は,およそ30%に上ると推定され,近年急速に増加している.唯一の根治療法としてアレルゲン免疫療法が国内でも注目されており,特に侵襲性の低い投与ルートで実施できる舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)が期待されているが,本治療法の普及や適正使用に向けて解決すべき課題も残されている.例えば,その作用メカニズムが十分に解明されていないこと,投与する抗原用量・治療期間と薬効強度にどのような関係性があるのか情報が少ないこと,或いは治療効果を予測・モニタリングできるバイオマーカーが同定されていないこと等である.そこで我々は,これらの解決を目指し...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 2017, Vol.150(2), pp.68-71 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 日本における花粉症の患者数は,およそ30%に上ると推定され,近年急速に増加している.唯一の根治療法としてアレルゲン免疫療法が国内でも注目されており,特に侵襲性の低い投与ルートで実施できる舌下免疫療法(sublingual immunotherapy:SLIT)が期待されているが,本治療法の普及や適正使用に向けて解決すべき課題も残されている.例えば,その作用メカニズムが十分に解明されていないこと,投与する抗原用量・治療期間と薬効強度にどのような関係性があるのか情報が少ないこと,或いは治療効果を予測・モニタリングできるバイオマーカーが同定されていないこと等である.そこで我々は,これらの解決を目指して,SLITの治療効果を評価することができ,尚且つ,バイオマーカーの探索やメカニズム解明を目的とした研究に有用な新規のスギ花粉症モデルマウスの構築を試みた.スギ花粉粗抽出物(Japanese cedar pollen extract:JC)の経鼻感作と連日暴露により鼻炎症状を誘発し,5週間の間隔を開けてJCの暴露を繰り返すことで,毎年春に繰り返すヒトのスギ花粉症を模したモデルを作製した.また,鼻炎発症後にスギ花粉によるSLIT(JC-SLIT)を行い,その治療効果及びJC-SLIT終了後の薬効持続を評価した.その結果,JC-SLIT群はコントロール群と比較して鼻炎症状が強く抑制され,本モデルでJC-SLITの薬効評価が可能であることを示した.さらにJC-SLIT終了から約2ヵ月後でもその薬効は持続し,JC-SLITが従来の対症療法薬では認められない寛解維持作用を有することを確認した.臨床で観察される薬物療法の特長を反映した本モデルは,SLITの研究に有用であると考えられた. |
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ISSN: | 0015-5691 1347-8397 |
DOI: | 10.1254/fpj.150.68 |