スパコン「京」によるインシリコ創薬

医薬品研究開発プロセスの効率化によって研究開発コストを抑制することは製薬業界にとっての急務であり,人工知能(AI)や分子シミュレーションの技術を駆使した「インシリコ創薬」に大きな期待が寄せられている.しかし,これまでの「インシリコ創薬」においては,主に計算機性能の不足により,①膨大な化合物ライブラリから疾患原因タンパク質と結合する化合物を網羅的に探索できない,②医薬品候補化合物の薬理活性を正確に予測することが難しい,といった課題があった.本稿では,これらの課題の解決を目指して筆者らが取り組んできた,スーパーコンピュータ「京」を活用した世界最大規模の高速・超並列バーチャルスクリーニング,および大...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2017, Vol.149(6), pp.281-287
Hauptverfasser: 中津井, 雅彦, 鎌田, 真由美, 荒木, 望嗣, 奥野, 恭史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:医薬品研究開発プロセスの効率化によって研究開発コストを抑制することは製薬業界にとっての急務であり,人工知能(AI)や分子シミュレーションの技術を駆使した「インシリコ創薬」に大きな期待が寄せられている.しかし,これまでの「インシリコ創薬」においては,主に計算機性能の不足により,①膨大な化合物ライブラリから疾患原因タンパク質と結合する化合物を網羅的に探索できない,②医薬品候補化合物の薬理活性を正確に予測することが難しい,といった課題があった.本稿では,これらの課題の解決を目指して筆者らが取り組んできた,スーパーコンピュータ「京」を活用した世界最大規模の高速・超並列バーチャルスクリーニング,および大規模分子動力学シミュレーションを活用したタンパク質-化合物結合親和性の高精度予測について紹介するとともに,次期のスーパーコンピュータであるポスト「京」の圧倒的な計算性能が実現するインシリコ創薬の未来を展望する.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.149.281