LDL 受容体をめぐる新薬開発競争

コレステロールを下げる薬として, 世界で最も使用されているのが「スタチン」であり, 世界で毎日4000万人に投与され, 年約3兆円の売上げがある(1). スタチン発見の第1号は, 遠藤章らによるもので, 日本発の画期的新薬であった. 1985年にLDL受容体発見などのコレステロール研究でノーベル医学・生理学賞がBrownとGoldsteinに授与されたが, その10年以上前にスタチンは発見されていた(2). 製品化はアメリカを追う形になったものの, 日本初のブロックバスターが生まれてきた経緯は, 国産低分子創薬の輝かしい歴史である. スタチンは冠動脈疾患予防に対し有効な治療薬である. 心血管疾...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2014, Vol.143(5), pp.262-262
1. Verfasser: 藤田, 隆司
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:コレステロールを下げる薬として, 世界で最も使用されているのが「スタチン」であり, 世界で毎日4000万人に投与され, 年約3兆円の売上げがある(1). スタチン発見の第1号は, 遠藤章らによるもので, 日本発の画期的新薬であった. 1985年にLDL受容体発見などのコレステロール研究でノーベル医学・生理学賞がBrownとGoldsteinに授与されたが, その10年以上前にスタチンは発見されていた(2). 製品化はアメリカを追う形になったものの, 日本初のブロックバスターが生まれてきた経緯は, 国産低分子創薬の輝かしい歴史である. スタチンは冠動脈疾患予防に対し有効な治療薬である. 心血管疾患は世界の主要な死亡原因であり, スタチンはそのリスク軽減効果をもつからである. スタチンは, コレステロールの生合成を阻害し, LDL受容体の細胞膜への発現を増加させる. すると, 悪玉コレステロールであるLDLは受容体と結合して取り込まれ, エンドゾームの酸性環境で受容体と解離しリサイクルされる(3).
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.143.262