概日時計による神経新生の周期的制御機構
神経幹細胞は未分化性を維持しつつ増殖する自己複製能と神経細胞やアストロサイト, オリゴデンドログリア細胞に変化する多分化能を有した細胞であり, 成体哺乳類においても側脳室下帯や海馬歯状回など特定の脳部位に存在し, 神経新生を担っている. 近年, イミプラミンやフルオキセチンなどの抗うつ薬が海馬歯状回の神経新生を促進させることによって抗うつ作用を惹起している可能性が報告され(1), 中枢神経作用薬の新しい標的としても着目されている. 神経幹細胞の増殖や分化運命決定は種々の液性因子やそれらによって活性化される転写調節因子によって制御されることが報告されているが, その分子基盤の全容は完全には明らか...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 2010-10, Vol.136 (4), p.243-243 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 神経幹細胞は未分化性を維持しつつ増殖する自己複製能と神経細胞やアストロサイト, オリゴデンドログリア細胞に変化する多分化能を有した細胞であり, 成体哺乳類においても側脳室下帯や海馬歯状回など特定の脳部位に存在し, 神経新生を担っている. 近年, イミプラミンやフルオキセチンなどの抗うつ薬が海馬歯状回の神経新生を促進させることによって抗うつ作用を惹起している可能性が報告され(1), 中枢神経作用薬の新しい標的としても着目されている. 神経幹細胞の増殖や分化運命決定は種々の液性因子やそれらによって活性化される転写調節因子によって制御されることが報告されているが, その分子基盤の全容は完全には明らかになっていない. 最近, 海馬歯状回に存在する神経幹細胞の増殖が1日の時刻で変化することが報告された. そこで本稿では, 24時間の生体リズムを生みだす概日時計による神経幹細胞の増殖調節機構について紹介する. 「海馬歯状回の神経幹細胞の増殖リズム」:海馬歯状回において神経幹細胞は顆粒細胞層と門の境界領域である顆粒細胞下層に存在し, 歯状回に新生ニューロンを供給する役割を果たす. |
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ISSN: | 0015-5691 |