くすりが効くターゲット

この変なタイトルは単にくだらないダジャレである. 今はもうなくなったので, 誰もダジャレとも気付きもしなくなったが, かつて人気のTV番組にサッカー・ゴールの決まった場所にボールを蹴り込む「キック・ターゲット」というゲームがあった. 適切な目的部位に薬物を作用させるというコンセプトが, このゲームと一致したので採用した. 挿入した図は, 2004年のMolecular Medicine(中山書店:休刊中)に同じタイトルでシリーズを連載した時に, そのゲームをしているように書いてもらったものである. さすがに自分の似顔絵が入っているこの図は使用しなかった. また, くすりを蹴るとは何事かとおしかりを受けるかもしれないが, 正確にターゲット分子にくすりが結合・作用することが重要であるという趣旨をご理解いただきたい. このような薬物の作用部位であるターゲット分子を考えるきっかけになったのは, 東北大学名誉教授の渡邉建彦先生からお誘いがあり, 「くすりの効き方を科学する」(医歯薬出版:現在第三刷準備中)という堅苦しくない教科書のお申し出があったときである.