ストレスが変える視床下部の遺伝子
生体がストレスを受けると,脳を介して血圧・心拍の変化や気分・行動の変容など様々な生体反応が引き起こされる.生体のストレス反応のうち,自律神経系を介した生体反応や内分泌系の生体反応は,自律神経系と内分泌系の統合中枢である視床下部を介して引き起こされていることはよく知られている.視床下部ニューロンの神経活動の指標として前初期遺伝子群の発現が汎用されている.我々は,定量化の容易な浸透圧ストレスを用いて,ストレス研究への前初期遺伝子群の有用性について検討したところ,前初期遺伝子群の中でもc-fos遺伝子の発現動態がよい指標となることを見出した.また,ストレスが食欲低下や過食を引き起こすことは経験的によ...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 2005, Vol.126(3), pp.179-183 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 生体がストレスを受けると,脳を介して血圧・心拍の変化や気分・行動の変容など様々な生体反応が引き起こされる.生体のストレス反応のうち,自律神経系を介した生体反応や内分泌系の生体反応は,自律神経系と内分泌系の統合中枢である視床下部を介して引き起こされていることはよく知られている.視床下部ニューロンの神経活動の指標として前初期遺伝子群の発現が汎用されている.我々は,定量化の容易な浸透圧ストレスを用いて,ストレス研究への前初期遺伝子群の有用性について検討したところ,前初期遺伝子群の中でもc-fos遺伝子の発現動態がよい指標となることを見出した.また,ストレスが食欲低下や過食を引き起こすことは経験的によく知られていることである.最近,視床下部の摂食関連ペプチドであるオレキシンとニューロメジンUのストレス反応との関与が注目されており,摂食に対してはオレキシンは促進作用,ニューロメジンUは抑制作用とまったく逆の作用を有する.ところが,脳内のオレキシン・ニューロメジンUは共にストレスに対する内分泌反応の中軸である視床下部-下垂体-副腎軸に対して賦活作用を有する.ストレス反応と視床下部に存在する神経ペプチドの生理作用との関連を調べることにより,ストレス反応の分子基盤の一端を解明できるかもしれない. |
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ISSN: | 0015-5691 1347-8397 |
DOI: | 10.1254/fpj.126.179 |