C-7 タモキシフェンは舌扁平上皮癌細胞の増殖を抑制する

タモキシフェンは長年エストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌に対するホルモン療法剤として用いられてきた. その薬理作用は, 乳癌組織等のERに対しエストロゲンと競合的に結合し, 抗エストロゲン作用を示すことによって抗乳癌作用を発揮するものと考えられている. しかし乳癌以外の癌, 特に扁平上皮癌に対する作用についての研究はほとんどない. そこで今回, ER陽性ヒト舌扁平上皮癌の細胞株SCC-KNおよびSCC-TFを用いて, タモキシフェンの扁平上皮癌に対する細胞増殖抑制作用について検討した. SCC-KNおよびSCC-TFにエストラジオールおよびタモキシフェンを処置後, MTT法により細胞数の変化...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2004, Vol.124 (2), p.26P-26P
Hauptverfasser: 佐野敬人, 和田孝一郎, 増田智丈, 大倉正也, 古郷幹彦, 上崎善規
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:タモキシフェンは長年エストロゲンレセプター(ER)陽性乳癌に対するホルモン療法剤として用いられてきた. その薬理作用は, 乳癌組織等のERに対しエストロゲンと競合的に結合し, 抗エストロゲン作用を示すことによって抗乳癌作用を発揮するものと考えられている. しかし乳癌以外の癌, 特に扁平上皮癌に対する作用についての研究はほとんどない. そこで今回, ER陽性ヒト舌扁平上皮癌の細胞株SCC-KNおよびSCC-TFを用いて, タモキシフェンの扁平上皮癌に対する細胞増殖抑制作用について検討した. SCC-KNおよびSCC-TFにエストラジオールおよびタモキシフェンを処置後, MTT法により細胞数の変化を検討した. エストラジオール処置群では細胞数の有意な変化は認められなかったが, タモキシフェン処置群では濃度依存的に細胞増殖の抑制が認められた. この作用メカニズムを検討したところ, タモキシフェン処置群では, 癌化や細胞増殖に影響を与えているといわれているEGFレセプターやβ-カテニンのタンパク発現量およびm RNAの減少が認められた. これらの結果より, 扁平上皮癌においても, タモキシフェンはこのER系を抑制することにより, EGFレセプター, β-カテニンの発現を減少させた結果, 細胞増殖の抑制を引き起こすことが示唆された.
ISSN:0015-5691