B-5 脳血管攣縮におけるHeat shock Protein72誘導の治療的役割

脳血管攣縮は, くも膜下出血後(SAH)に生じる脳血管の狭小化で, くも膜下出血患者の最大の予後不良因子である. 多くの研究がなされてきたが確立した治療法は存在しない. 我々は, ラット脳血管攣縮モデルにおける遺伝子発現解析から, 臨床上問題となる遅発性攣縮に相関してHeat Shock Protein72(HSP72)の遺伝子発現が上昇することを見出した. そこで, 脳血管攣縮におけるHSP72の役割を検討した. ラット脳血管攣縮は自家動脈血注入後2日目をピークとする遅発性攣縮を示すが, Antisense HSP72 oligodeoxynudeotide(ODN)によるHSP72の特異的...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2004, Vol.124 (2), p.20P-20P
Hauptverfasser: 角田宏, 二階堂洋史, 西村有平, 田中利男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脳血管攣縮は, くも膜下出血後(SAH)に生じる脳血管の狭小化で, くも膜下出血患者の最大の予後不良因子である. 多くの研究がなされてきたが確立した治療法は存在しない. 我々は, ラット脳血管攣縮モデルにおける遺伝子発現解析から, 臨床上問題となる遅発性攣縮に相関してHeat Shock Protein72(HSP72)の遺伝子発現が上昇することを見出した. そこで, 脳血管攣縮におけるHSP72の役割を検討した. ラット脳血管攣縮は自家動脈血注入後2日目をピークとする遅発性攣縮を示すが, Antisense HSP72 oligodeoxynudeotide(ODN)によるHSP72の特異的抑制によりこの遅発性攣縮は増悪した. このことから, HSP72は脳血管攣縮における抗攣縮分子であることが示唆された. さらにくも膜下出血後の脳血管において, 抗胃潰瘍薬であるgeranylgeranylacetone(GGA)の経口投与はHSP72発現誘導を増強するとともに, 遅発性攣縮を改善した. 以上の結果よりHSP72は脳血管攣縮における抗攣縮分子であることが明らかとなった. HSP72は脳血管攣縮病態にける新たな創薬ターゲットであり, GGAはHSP72発現誘導を介して抗攣縮効果を示した. (Circulation 2004, in press)
ISSN:0015-5691