ゲノム創薬からゲノム薬理学へのメッセージ

生命活動のプログラムともいえるヒトゲノムの完読により, 創薬研究のパラダイムシフトとして“ゲノム創薬”という大きな輝きと期待を, 私たちに改めて認識させた. 想えば1944年ロックフェラー大学のO.T.Averyらが, 肺炎双球菌の形質転換の原理と実証から, DNAが遺伝性をもつ鋳型であると示唆され, 1953年にはJ.D.WatsonおよびF.H.C.Crickによってプリンとピリミジン間の水素結合によって結び合わされる2本のヘリックス鎖から成るDNAのモデルを提唱されたことなどが動機となって, 私の「核酸のde novo合成研究」も同時期に起点となった. さらに1975年がん遺伝子の発見者...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2004-03, Vol.123 (3), p.131-132
1. Verfasser: 野口照久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:生命活動のプログラムともいえるヒトゲノムの完読により, 創薬研究のパラダイムシフトとして“ゲノム創薬”という大きな輝きと期待を, 私たちに改めて認識させた. 想えば1944年ロックフェラー大学のO.T.Averyらが, 肺炎双球菌の形質転換の原理と実証から, DNAが遺伝性をもつ鋳型であると示唆され, 1953年にはJ.D.WatsonおよびF.H.C.Crickによってプリンとピリミジン間の水素結合によって結び合わされる2本のヘリックス鎖から成るDNAのモデルを提唱されたことなどが動機となって, 私の「核酸のde novo合成研究」も同時期に起点となった. さらに1975年がん遺伝子の発見者R.Dulbeccoに言わしめたごとく, 生命の輝きはDNAの織り成す偶然と必然性のドラマであり, DNAの塩基配列こそ人類の真実を物語っており, AGCTの4文字が綴る生命の設計図にはヒトゲノムとして30億ビットもの遺伝情報が秘められていることが教示された. 創薬の発想の源泉こそ, このDNAに求められる.
ISSN:0015-5691