チミジンホスホリラーゼ(TP)は抗癌剤によって誘導されるアポトーシスに対して抵抗性を賦与する

チミジンホスホリラーゼ(TP)は血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)と同一の分子である. TPは血管新生作用を有しその血管新生には酵素活性が必要であることが判明している. またTPは多くの悪性腫瘍において高発現しており, TPの発現は癌の独立した予後因子と考えられている. このことはTPが血管新生以外の働きを有することを意味する. TPは低酸素で誘導されるアポトーシスに対し細胞を耐性にする. そこで今回, TPの発現が抗癌剤によるアポトーシス誘導に及ぼす影響を検討したところTPの高発現細胞はシスプラチンに対して耐性を示した. また同細胞はシスプラチンによって誘導されるアポトーシスに...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2003, Vol.122 (suppl), p.84-86
Hauptverfasser: 池田龍二, 古川龍彦, 住澤知之, 原口みさ子, 大磯茂, 山田勝士, 井ノ上逸朗, 秋山伸一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:チミジンホスホリラーゼ(TP)は血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)と同一の分子である. TPは血管新生作用を有しその血管新生には酵素活性が必要であることが判明している. またTPは多くの悪性腫瘍において高発現しており, TPの発現は癌の独立した予後因子と考えられている. このことはTPが血管新生以外の働きを有することを意味する. TPは低酸素で誘導されるアポトーシスに対し細胞を耐性にする. そこで今回, TPの発現が抗癌剤によるアポトーシス誘導に及ぼす影響を検討したところTPの高発現細胞はシスプラチンに対して耐性を示した. また同細胞はシスプラチンによって誘導されるアポトーシスに対して抵抗性を示した. さらに同細胞は, シスプラチンによって誘導されるチトクロムCの放出, カスパーゼ3, 9の活性化を抑制した. これらのTPによるアポトーシス耐性の賦与とTPの酵素活性には関係が認められなかった. TP分子の酵素活性ではなく, TPの発現がシスプラチンのアポトーシス耐性に関与しているものと考える.
ISSN:0015-5691