傍気管神経節ニューロンの急性単離と薬理学への応用

気道を支配する副交感神経系は気道平滑筋のごく近傍で神経節を形成し,その節後線維終末部から放出されるアセチルコリンは気道平滑筋を強力に収縮させる.この傍気管神経節は,迷走神経節前線維終末部からのコリナージックな入力だけでなく,軸索反射による気道知覚神経分枝からの入力も受けることから,気道過敏症や喘息など気道に関する疾患の発現に重要な役割を演じていると考えられる.しかし,傍気管神経節はその大きさが100 µm程度と,他の交感神経や感覚神経系の神経節に比べて非常に小さく,そのニューロンの興奮性制御機構は十分には解明されていない.本稿では,傍気管神経節ニューロンの単離方法について説明するとともに,単離...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2003, Vol.122(5), pp.437-442
Hauptverfasser: 石橋, 仁, 梅津, 麻里
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:気道を支配する副交感神経系は気道平滑筋のごく近傍で神経節を形成し,その節後線維終末部から放出されるアセチルコリンは気道平滑筋を強力に収縮させる.この傍気管神経節は,迷走神経節前線維終末部からのコリナージックな入力だけでなく,軸索反射による気道知覚神経分枝からの入力も受けることから,気道過敏症や喘息など気道に関する疾患の発現に重要な役割を演じていると考えられる.しかし,傍気管神経節はその大きさが100 µm程度と,他の交感神経や感覚神経系の神経節に比べて非常に小さく,そのニューロンの興奮性制御機構は十分には解明されていない.本稿では,傍気管神経節ニューロンの単離方法について説明するとともに,単離ニューロンにパッチクランプ法を適用して測定した高閾値Ca2+チャネル電流,アセチルコリン誘発電流,ならびに単離方法を工夫して得られる節前線維終末部付着単離ニューロンとそれを用いて記録したコリナージックなシナプス後電流について紹介する.この節前線維終末部付着単離ニューロンを用いると,節前線維終末部からのアセチルコリン遊離とその修飾機構の解析が可能であり,これまでほとんど解明されていない迷走神経節におけるシナプス伝達修飾機構について解析が進むことが期待される.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.122.437