新たな酢酸誘発潰瘍性大腸炎モデルの基礎的研究

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)を対象とした薬理研究の分野で繁用されている酢酸注腸によるラット大腸炎モデルの優れた特性に加え, さらに客観性, 定量性を備えた新たなラット漿膜内酢酸注入潰瘍性大腸炎モデルを確立したので報告する. 本モデルは, ラット大腸漿膜下への酢酸注入(20%, 0.02ml)により, 限局した部位に円形ないしは楕円形状のUC様病変を作製するものである. 作製した潰瘍の大きさはノギスを用いて直接的に測定することが可能で, 結果は潰瘍面積(平方ミリメートル)として数値であらわされる. 臨床的に重要な炎症ファクターの一つであるロイコトリエンB_4 につ...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2001, Vol.118 (2), p.123-130
Hauptverfasser: 小島僚太郎, 浜本昇一, 森脇正彦, 岩館克治, 大脇達也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis, UC)を対象とした薬理研究の分野で繁用されている酢酸注腸によるラット大腸炎モデルの優れた特性に加え, さらに客観性, 定量性を備えた新たなラット漿膜内酢酸注入潰瘍性大腸炎モデルを確立したので報告する. 本モデルは, ラット大腸漿膜下への酢酸注入(20%, 0.02ml)により, 限局した部位に円形ないしは楕円形状のUC様病変を作製するものである. 作製した潰瘍の大きさはノギスを用いて直接的に測定することが可能で, 結果は潰瘍面積(平方ミリメートル)として数値であらわされる. 臨床的に重要な炎症ファクターの一つであるロイコトリエンB_4 について, 本モデルの潰瘍部位における存在量を経時的に測定したところ, 潰瘍面積の変化と良く相関していた. また, 潰瘍部位には炎症性細胞の組織浸潤など典型的な炎症組織像が認められ, ヒトUCの病態との類似性が示された.
ISSN:0015-5691