ラット肥満細胞に発現するカルシウムチャネルTransient receptor potential-5(TRP-5)のcDNAクローニング

肥満細胞は, I型アレルギー反応において抗原による刺激に応答し, ヒスタミンを遊離することが知られている. 抗原刺激により肥満細胞からヒスタミンが遊離するためには, 細胞外から細胞内へカルシウムが流入することが必須であると考えられている. しかし, このカルシウムの流入を制御するカルシウムチャネルは未だ同定されておらず, その活性制御機構も明らかとされていない. 最近, 非電位依存性カルシウムチャネルとしてTransient receptor potential(TRP)とそのホモログが同定され, TRPファミリーを形成している. このファミリーの中でTRP-5は非電位依存性カルシウムチャネル...

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Hauptverfasser: 千原一泰, 重松秀一郎, 岡敬三, 前山一隆
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:肥満細胞は, I型アレルギー反応において抗原による刺激に応答し, ヒスタミンを遊離することが知られている. 抗原刺激により肥満細胞からヒスタミンが遊離するためには, 細胞外から細胞内へカルシウムが流入することが必須であると考えられている. しかし, このカルシウムの流入を制御するカルシウムチャネルは未だ同定されておらず, その活性制御機構も明らかとされていない. 最近, 非電位依存性カルシウムチャネルとしてTransient receptor potential(TRP)とそのホモログが同定され, TRPファミリーを形成している. このファミリーの中でTRP-5は非電位依存性カルシウムチャネル阻害薬であるSK&F96365により阻害されるとの報告がなされている. 一方, 我々はSK&F96365が, 肥満細胞のモデルとして広く利用されているラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3細胞)において抗原やThapsigargin刺激後に生じる細胞外からのカルシウム流入を抑制し, ヒスタミンの遊離を抑制することを明らかにしている. 以上の知見に基づき, 我々は肥満細胞にTRPファミリーに属するカルシウムチャネルが発現している可能性を考え, RT-PCR法によりmRNAの発現の有無を検討した. その結果, 少なくともラットTRP-5がRBL-2H3細胞に発現していることを確認した. さらにラットTRP-5のcDNAクローニングを行い, 一次構造を決定した. 現在, リコンビナントTRP-5蛋白質を用いてTRP-5のチャネル活性を阻害する中和抗体の作製を試みている. また, 肥満細胞に作用するより強力なカルシウム拮抗薬を探索し, TRP-5のチャネル活性に対する阻害効果を検討していく予定である.
ISSN:0015-5691