サンプル採取と処理過程で混入するNOx汚染の実態とその対策

我々は, 様々なサンプルのNOx(NO_2 およびNO_3 )を測定し, 生体での内皮細胞機能の評価への適用を試みている. このNOx定量の過程に於いて, 様々な実験器具からのNOxの汚染が, 精密な測定および結果の評価の障害となっている事が知られている. しかし, この汚染の程度と, これに対する対策の効果は, 一部を除いて公開されておらず, 実際に測定を行おうとする研究者にとっての, 大きな障害となっている. そこで我々は, サンプル処理時のNOx汚染の程度と出所を明らかにすると共に, これらを除去する方法とその効果について検討した. NOxはHPLC-Griess法(Eicom,Kyot...

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Hauptverfasser: 姫野万里子, 石橋隆治, 今泉範子, 中野茂, 内田健三, 吉田純子, 西尾眞友
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:我々は, 様々なサンプルのNOx(NO_2 およびNO_3 )を測定し, 生体での内皮細胞機能の評価への適用を試みている. このNOx定量の過程に於いて, 様々な実験器具からのNOxの汚染が, 精密な測定および結果の評価の障害となっている事が知られている. しかし, この汚染の程度と, これに対する対策の効果は, 一部を除いて公開されておらず, 実際に測定を行おうとする研究者にとっての, 大きな障害となっている. そこで我々は, サンプル処理時のNOx汚染の程度と出所を明らかにすると共に, これらを除去する方法とその効果について検討した. NOxはHPLC-Griess法(Eicom,Kyoto,Japan)で定量し, その感度はloading volumeが100μlのとき10nMであった. サンプルの採取から測定までの実験操作をPhosphato buffered saline(100mM, pH7.4)で模倣したところ, NOxによる汚染は0.35-1.49μMの範囲で, 平均は0.93μMであった. 主な汚染の発生源は試験管(54.8%)とピッペットチップ(12.3-16.3%)であった. これらは, 純水による充分な洗浄によって除去する事ができ, 個々の実験器具からのNOx汚染は測定限界以下となった. これらの洗浄済みの器具で実験操作全体を模倣してみると, 僅かなNOxが汚染として残存したのみであった. この洗浄した時の効果は少なくとも10日持続した. 大量の汚染はガラス器具(特に軟質ガラス)および限外濾過ユニットから検出され, これらの汚染は洗浄によっても除去は困難であった. 真空採血管からも種類によって様々なレベルのノイズが検出された. 以上の結果から, NOxの正確な測定のためには, 汚染の完全な除去は困難であるものの, 事前の充分な器具洗浄が効果的である事, ガラス器具や限外濾過は避けるべき事, 真空採血管は慎重に選択すべき事等が明らかとなった.
ISSN:0015-5691